住宅のリフォーム商材をネットで販売するEC(電子商取引)サイト「リノコ」を運営するセカイエ(大阪市北区)が業績を伸ばしている。2016年6月期のECによる売上高は約20億円に達し、前期比で倍増の勢いだ。

 好業績を支えているのが、ECサイトへのアクセス数の急増。月間ユニークユーザー(UU)数は現在約40万で、こちらも1年前に比べて2倍近くなっている。ECサイトに掲載するコンテンツを質、量ともに強化し、SEO(検索エンジン最適化)対策に努めたことが奏功した。

セカイエが運営するECサイト「リノコ」(右)とリミアが始めた「リミア」(左)
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セカイエが運営するECサイト「リノコ」(右)とリミアが始めた「リミア」(左)
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セカイエが運営するECサイト「リノコ」(右)とリミアが始めた「リミア」(左)

 セカイエは2015年1月、ネットゲーム大手で非ゲーム分野の強化を図っていたグリーに、13億400万円で買収され、その傘下に入った。その後、グリーの協力を得てECサイトの戦略を見直し、2015年12月から2106年春にかけて、サイト上のコンテンツを整理。実際のリフォームの事例を解説するコンテンツを大幅に増やして、それまで約1万だったコンテンツの数を約1万4000に引き上げたのだ。

 併せてSEO対策を強化し、その精度を向上させて、サイトへのアクセス増を図った。Webコンサルティング会社のナイル(東京都品川区)が開発したSEO支援ツール「Refract(リフラクト)」を導入。ユーザーがどのようなキーワードを検索してサイトに流入しているのかを日々チェック。ランキングの上位にきたキーワードを、その後にアップするコンテンツに含めるようにしたり、検索されると想定していたキーワードが思ったほど検索されない場合にその理由を分析したり、ツールが示すデータに基づくPDCAを高速に回すことで、サイト内のコンテンツが従来より検索されやすいように力を注いだ。

 セカイエ分析グループの鳥居裕二アナリストは、「リノコの場合、ソーシャルメディアやネット広告経由で訪れるユーザーが増え、サイト流入経路が複雑になっていた。その一方、検索サイトから訪れるユーザーも確実に増えていた。このため、一覧性が高いツールを使って、どのキーワードが引っかかっているのか状況を把握し、課題を早期に発見して打ち手を講じるSEO対策が、これまで以上に奏功した」と語る。

「リミア」でもSEO対策

 実はグリーの子会社で、住宅関連事業者と消費者をつなぐマッチングサイト「リミア」を2015年11月からスタートさせたリミア(東京都港区)も、リノコと同じ手法でサイトへの訪問者数を伸ばしている。リミアのマーケティング部グロースチームの野口将弘氏は、「今後も積極的にSEO対策に取り組み、サイトへのアクセス数を増やしたい」と語る。デジタルマーケティングの世界では新しいアドテクが注目されがちだが、サイトを持つ企業はSEO対策をもう一度見直す必要があるかもしれない。