アパレルブランド「GAP」を展開するギャップジャパン(東京都渋谷区)が、コンテンツマーケティングの強化を進めている。3月にWebマガジン「GAP 1969 MAGAZINE」を開設。コーディネート提案や、著名人のインタビューなどをコンテンツとして発信している。コンテンツマーケティングで狙うのはリブランディングだ。

3月に開設したWebマガジン「GAP 1969 MAGAZINE」
3月に開設したWebマガジン「GAP 1969 MAGAZINE」

 GAPはデニム素材の商品をブランドの起源に持つ。事業の拡大と共に、商品の幅を広げて、アパレルの総合ブランドとしての地位を築き上げた。それゆえ、今もデニム商品へのこだわりは強い。ところが一般消費者の認識は異なるようだ。総合ブランドとしてのイメージが浸透したことで「GAPをデニムブランドと認識する顧客は、少数派になってしまった」と橋本裕芳里マーケティングディレクターは言う。それはある意味、ブランドのコアバリューを失いつつあるとも言える。

 そこで原点に立ち戻り、デニムというカテゴリーで、ブランドの信頼性を改めて獲得していくことをマーケティングの目標に据えて、コミュニケーションの設計に乗り出した。このコミュニケーションの設計で課題になるのが、ライフスタイルの多様化だ。「ファッションという切り口だけでは、ブランドとの接点が限られてしまう」(橋本氏)。ファッションだけでなく、さまざまな角度で消費者とブランドの接点を持つことが求められた。

SNSでの拡散力を効果指標に

 その役割を担うのが、GAP 1969 MAGAZINEだ。GAP 1969 MAGAZINEは、20~30代の女性をターゲットとしたWebマガジン。GAPはユニセックスブランドであるものの、売り上げに占めるシェアは女性の顧客層のほうが高いことから、中心となる顧客層をターゲットに据えている。同サイトは、Webマガジンという体裁を採ることで、商品情報を中心としたGAPの本体サイトでは発信しづらい、著名人へのインタビューや、ミュージシャンとコラボレーションしたミュージックビデオといった、多彩なコンテンツを発信できる。

 もちろん、コーディネートやデニム商品の正しい洗濯の方法といった、GAPの商品に直接関連したコンテンツも掲載している。こちらは日本市場に合わせた情報の発信を狙う。というのもギャップのEC(電子商取引)サイトなどで使う着用写真などは、コンテンツがグローバルで統一されている。そのため、着こなしの嗜好が、必ずしも日本市場に合うわけではない。GAP 1969 MAGAZINEでは、こうした市場の違いから生じるギャップを埋めるコンテンツ作りにも努めている。

 主な集客手段は検索サイトやソーシャルメディアからの流入だが、ネイティブ広告も活用している。キュレーションメディア「Antenna」の広告もその1つだ。GAP 1969 MAGAZINEの記事を広告としてAntennaに配信し、そこから集客を図っている。「十分な集客効果は出ている」(橋本氏)ことから今後、他の媒体への出稿も検討していく。

 コンテンツを評価する上で、現状はソーシャルメディアでの拡散力を1つの指標にしているという。サイト開設時は、PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)といったサイト内の指標で測定していたが、「PVを上げることが目的ではなく、ブランドとの接点を拡大することが目的」(橋本氏)のため、いかにソーシャルメディア上に情報が広がったかを重視するように評価の方法を変えた。今後は、定期的に実施しているブランド調査において、GAP 1969 MAGAZINEの閲覧の有無を項目に加えるなどして、ブランドへの貢献度も測定していく方針だ。

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