ライオンは、衣料用洗剤の新製品「トップ スーパーNANOX(ナノックス)」を2月17日から売り出すに当たり、Twitterを使った第1弾のプレゼントキャンペーンを、4月30日まで展開した。アイドルグループ「嵐」の二宮和也さんを起用したテレビCMの放映と同時に、Twitterから応募を受け付け、限定デザインのボトル「NINOX(ニノックス)」と新製品の詰め替え用洗剤を抽選で1000人にプレゼントするキャンペーンを打ったのだ。

TwitterのスーパーNANOX公式アカウントからの投稿の例
TwitterのスーパーNANOX公式アカウントからの投稿の例

 具体的には、消費者がハッシュタグ「#受けて立つ!」を付けてツィートして、スーパーNANOX公式アカウントからの返信に記載したURLをクリックして公式アカウント上のタイムラインへ移動。フォローボタンを押すことで、キャンペーン応募が完了する仕組みとした。「二宮さんのファンの多くがTwitterを利用している」(ライオン宣伝部デジタルコミュニケーション推進室の濱田浩二氏)ため、二宮さんのファンにリツィートしてもらい、広く情報を拡散させることでスーパーNANOXの認知向上を狙った。ひいては商品の売り上げ増と市場シェアの拡大も目指した。

 結果はライオンの予想を上回った。「#受けて立つ!」はキャンペーン開始とともにTwitterのトレンドワードにランクイン。従来の「トップ NANOX」ブランドサイトを衣替えしたスーパーNANOXブランドサイトへのアクセス数が過去最高となり、今回、新設したスーパーNANOX用キャンペーンサイトへのアクセス数も高い水準で推移した。それだけではない。スーパーNANOXが予想以上に売れ、衣料用洗剤におけるNANOXの市場シェアが、「目標を上回り、過去最高の数値を記録した」(濱田氏)。Twitter上に多数のファンを持つという二宮さんを起用して、Twitterを活用したプレゼントキャンペーンを展開したことが奏功した。

コミュニティーサイトを新設し、ファン育成を図る

 実はこのキャンペーンには、NANOXの認知向上と売り上げ増のほかに、もう1つ狙いがあった。二宮さんを起用したことで、キャンペーンには多数の参加が見込めた。そこで、スーパーNANOXの発売に先立つ1月19日に、ライオンとして初めて商品名を冠したコミュニティーサイト「ライオン トップ ファンコミュニティ」を開設。「今回のキャンペーンに参加した人の中で、洗濯に悩みを持つ人に、このコミュニティーサイトへ会員登録してもらい、ロイヤリティーの高い“ファン”になってもらうことを考えた」と濱田氏は振り返る。

 キャンペーンに応募する人の多くは二宮さんのファンであり、必ずしも洗濯に悩みを持っているとは限らない。そうした人たちが軒並み、コミュニティーサイトへ登録すると、本来の狙いから外れた会員構成になってしまう可能性があった。そこでライオンは、キャンペーンサイトでは、洗濯に悩みのある人が関心を持つようなコンテンツを多く掲載。狙い通りの人たちがコミュニティーサイトを訪れるように仕向けた。

 具体的には、キャンペーンサイトに、二宮さんが汚れ落としに挑戦する動画だけでなく、一般人が汚れ落としに挑む動画コンテンツも掲載。機械油による汚れやカレーのシミによる汚れなど、きれいに落ちないと思われていた汚れが落ちる様を動画で見せた。併せてTwitter公式アカウントから、【教えて!白シャツのお手入れ法】と題して、「皆さんはどうしてますか?コミュニティーでお話しましょう」といった、コミュニティーサイトへ誘導する投稿を、キャンペーン期間中に徐々に増やしていった。

 この結果、キャンペーンサイトの動画を見たり、Twitterの投稿に興味を持ったりしてコミュニティーサイトに会員登録した人は3万8000人に達した。「1年後に3万5000人」(濱田氏)としていた当初の目標を半年で超えた。だが、「あまりにも短期間で会員が増えたので、(新規会員が多数派となり)会員同士が活発に対話してくれるかどうか懸念がある」と濱田氏は話す。そこで、対話を促す新たな施策を導入するなどの検討を進めていく考えだ。

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