7月25日に開幕した新イベント「D3 WEEK 2016」。「デジタル×データ×デザインの未来」をテーマに、東京・六本木ヒルズ(六本木アカデミーヒルズ)を会場に、7月29日までおよそ100の講演やパネルディスカッションを実施する。その中からデジタルマーケティング関連の講演などを選りすぐってお届けしていく。

 「D3 WEEK 2016」の2日目。15時から「配送予告をLINEで通知、LINEから再配達依頼──LINE対応で利便性向上したクロネコメンバーズ」と称したセッションが開始された。登壇したヤマト運輸営業推進部プロジェクトマネージャー谷原亮太氏は冒頭、今、ヤマト運輸が掲げている“変わらないもののために、変わりつづける”というキャッチフレーズに込めた思いを話した。

ヤマト運輸営業推進部プロジェクトマネージャー谷原亮太氏
ヤマト運輸営業推進部プロジェクトマネージャー谷原亮太氏

 「宅急便が生まれたのは1976年、今年で40周年を迎える。40年前の営業開始日には12個だった取り扱い荷物の数は、昨年一千倍を超える17億個を超えた。当社は単なる荷物の配送サービスではなく、宅急便に付加価値をつけて、生活を便利にする新たなサービス、市場を生み出してきたと自負している」

 現在、会員数1500万人を数えるヤマト運輸の無料の会員制サービスがクロネコメンバーズだ。これは2007年に始まったもので、荷物を“受け取る・送る・支払う”をより便利に利用できるというものだ。ウェブ上で受け取り時間を変更でき、不在通知が指定のメールアドレスに届くなどといったデジタルを活用している。2012年にはスマートフォン用アプリをリリースし、現在ではクロネコメンバーズのほぼすべてのサービスをパソコンと同様に利用できるようにもした。直近でのアプリの利用者は約170万人を超えるという。

 会員は荷物の受け取り場所を、自宅だけではなく、通勤途中のコンビニエンスストアや最寄りのヤマト運輸の営業所など全国4万カ所から選択できる。コンビニであれば24時間の受け取りが可能であるし、呼び鈴の音で小さな子供を起こしたくない母親が、自宅ではなく最寄りのスーパーで荷物を受け取ることもできる。

 また不在時にはメールが即時に送信され、外出先から帰宅時間に合わせて再配達を依頼し、当日中に荷物を受け取ることも可能にしている。このサービスを普及させて不在配達を減らすことは、経営視点からみても効率化を高め、またCO2削減などエコロジーにも貢献できる。

 ユーザーが“送る”場面で手間に感じるのは、送付状を手書きすることだろう。それも会員であれば、ウェブ画面上で送り先の住所などを入力でき、一度アドレス帳に登録された情報は保存されるため、同じ住所に送る場合の二度手間がなくなる。また手元に送付状が欲しい場合は、自宅のプリンターで印刷することも可能だ。

 “支払う”サービスについては、電子マネー機能のついた会員カード、クロネコメンバーズ電子マネーカードを用意した。メンバーはnanaco、楽天Edy、WAONのうちから1つの電子マネーを選び、さらにヤマト運輸専用電子マネー「クロネコメンバー割」をチャージして使うこともできる。5000円以上チャージして宅急便の支払いに充てれば、運賃が10%割引になる仕組みであり、1つのカードに2つの電子マネーを搭載する唯一のカードでもあるという。

 今年3月にはEC(電子商取引)サイトであるAmazon.co.jp、Yahoo! JAPANとログイン連携サービスを開始している。いつも使っているECサイトのIDでクロネコメンバーズへのログインを可能にするもので、将来的にはECサイト上からクロネコメンバーズへログインできるように提携を拡大していく予定だ。

今年1月からLINEとの連携を開始

 さらに、今年1月からはLINEとの連携を始めた。これは「ヤマト運輸 LINE公式アカウント」と友だちになり、クロネコIDを連携させると、お届け予定や不在通知などを、LINEメッセージで受け取ることができるというものだ。導入に際して苦労した点を谷原氏はこう話す。

 「これまで当社は他社との協業に積極的でなかったこともあり、システム開発にはかなり手間取った。LINE側から送られてきたシステム仕様書はすべてが英語であり、まずそこからが大変だった(笑)。現在はLINEのユーザーが当社の公式アカウントと友だちになり、そこではじめてクロネコメンバーズのサービスを知るといったケースが増えている。やはり時代に合った方法でサービスを拡大していく必要があると感じている」

 谷原氏は続けて、これからの展望を以下のように話し、講演を締めくくった。

 「6月には会話AIを活用して、荷物に関する問い合わせをLINEのトーク上で行えるサービスを導入した。これはLINEのトーク上でサービスを完結させたいというお客様の声に応えたもので、荷物の配送状況や料金、商品への問い合わせにも答えることができる。もちろんまだ完全なものではないが、例えば方言にも対応できるようにするなど日々進化させていく。そして近い将来、アドレス帳の活用で送付状をワンタップで作成できたり、LINE上の友だちであれば互いに住所を知らなくても荷物が送れたりするようなサービスも、検討している。今後はさらにスマホを活用することで、友だちや家族にプレゼントを送るシーンを生みだし、人と人とのつながりを創造していきたい」