正社員向けの転職情報サイト「CAREERINDEX」などを運営するキャリアインデックスがメールマーケティングに、AI(人工知能)を活用したMA(マーケティングオートメーション)ツールなどの導入を検討している。

 これまでは、自社で蓄積したデータから担当者が仮説を立ててメールを出し分け、サイト登録後のユーザーにアプローチしてきた。その結果、KPI(重要業績評価指標)に設定していた登録ユーザー1人当たりの求人応募件数は、2017年3月期に、前年同期比で20%向上した。この出し分けノウハウをAIに学習させて効果を改めて検証。その上でツールを使った自動配信なども実現し、より精度の高いマッチングを目指す。

キャリアインデックスが運営する転職情報サイト「CAREERINDEX」
キャリアインデックスが運営する転職情報サイト「CAREERINDEX」

 キャリアインデックスは、「DODA」や「イーキャリア」といった複数の転職情報サイトと提携し、それらのサイトに登録したユーザーを送客するWebサイトで成長してきた。ユーザーはキャリアインデックスのWebサイトに1度登録すれば、提携先サイトが提供する転職情報を、キャリアインデックスのWebサイト上で検索したり、一覧したりできる。キャリアインデックスは、ユーザーが自社サイトを通じて提携サイトに登録したり、求人に応募したりするたびに、提携先から手数料を得る。主力のCAREERINDEX以外に、他にファッション業界に特化した転職情報サイト「Fashion HR」なども運営する。

 キャリアインデックスはこれまで、主にリスティング広告によって転職を希望するユーザーを自社Webサイトへ誘導して登録を促進。1度登録したユーザーに対しては、主にメールやLINEによって、求人への応募を働きかけてきた。

 メールなどを送る際には、「まずは登録日当日、次はそこから7日後」といった「登録日を基準にした配信のタイミング」と、登録に際して例えば過去の職歴情報まで入力したか、実際に求人に応募したかといった、Webサイト上のユーザーごとの「ステイタス」、それに性別・年代といったユーザーの「属性」という3つのデータに基づいて、マトリックス表を作り、出し分けていた。ステイタスや属性が異なれば、登録日を基準にした配信のタイミングが同じでも、内容を変えていたわけだ。

メールの効果が薄れる

 この結果、1人当たりの求人への応募件数は1年で20%アップした。しかし、課題も明らかになってきた。同社の齊藤慶介常務マーケティング部長は、「3つのデータに基づいたこの出し分けが本当に最善なのか検証できていない。また配信の頻度を引き上げた結果、1日10通以上という大量のメールを送りつけるユーザーが増えてしまい、内容の違いによる効果が希薄化してきた」と語る。そこで、AIを活用したMAツールなどを導入することで、これまでの出し分けの効果を検証しつつ、メールの配信本数を減らしてストーリーに基づくメールマーケティングの展開も視野に入れようと考えた。具体的な導入時期は未定だが、導入によって、2018年3月期の1人当たりの求人への応募件数を、今年3月期と比べてさらに20%以上引き上げることを狙っている。

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