「Digital Marketing Week 2015」で、ディノス・セシール ディノス事業ディビジョン営業推進本部マーケティング部WEB推進ユニットユニットマネージャーの井筒秀樹氏が、「集客後に購買につなげるディノスのWeb接客術」と題して講演した。

 ディノス・セシールは2013年7月に、フジテレビ系のカタログ通販会社ディノスと、独立系カタログ通販会社のセシールが合併して誕生した。両社とも1990年代からEC(電子商取引)サイトを立ち上げ、ディノスは月間7000万、セシールは8000万のページビュー(PV)の規模を誇る。

ディノス・セシール ディノス事業ディビジョン営業推進本部マーケティング部WEB推進ユニットユニットマネージャーの井筒秀樹氏
ディノス・セシール ディノス事業ディビジョン営業推進本部マーケティング部WEB推進ユニットユニットマネージャーの井筒秀樹氏

 しかし近年、両社ともリスティング広告のコンバージョン率(CVR)が低下。背景にあるのが、スマートフォンの普及だ。「スマホのCVRはパソコンの半分以下の0.6%。ディノス・セシールのメーンターゲットは40~50代だが、この年代の利用デバイス別シェアも、既にスマホがパソコンを超えている。今後、ますますスマホのシェアが拡大することを考えると、スマホ向けのCVRを高める施策の検討が必要だった」(井筒氏)。

 その他にも、クリック単価(CPC)の上昇による顧客獲得単価(CPA)や注文獲得単価(CPO)の高騰、EC担当者の負荷の増加という問題もあった。

「Zenclerk」と「Flipdesk」を導入

 これらの問題を解決するためにディノス・セシールが導入したのが、「ZenClerk」と「Flipdesk」という2つのWeb接客ツールだ。「Web接客ツールは大量のデータを活用することでリアルタイムに適切なアクションを実践できる。しかもスマホ対応が充実。そこが導入の決め手だった」と井筒氏は語る。

 リスティング広告経由の来訪者を含めた、新規顧客のCVRの増加を目的に導入したのが、ZenClerkである。ZenClerkは、購入を迷っている顧客に対し、ちょうどよいタイミングでクーポンを出し、コンバージョンに結びつけるというツールだ。しかもプログラムページの中にタグを1本入れるだけで他に新規開発は不要なので、「EC担当者の負荷は何もない」と井筒氏は説明する。同ツールを導入したことでCVRは前期比54%増と急上昇している。以前の施策と異なり、EC担当者の負荷がないためコストも削減されているという。

 さらに、「クーポン以外の施策を打つために」(井筒氏)導入したのが、Flipdeskである。同ツールは、ユーザーの行動に合わせて適切なタイミングで適切なオファーをユーザーに提案することができる、ルールベースの接客ツールだ。こちらも既存のプログラムページにタグを埋めるだけなので、新規の開発は不要だ。

 「Flipdeskはとにかく機能が豊富で操作が簡単なのがポイント。現在、過去に1回でもログインしてくれた人に利用の御礼メッセージを出したり、5ページ以上閲覧した人に離脱防止のコンテンツを提案したり、サイズを迷っている人にサイズシミュレーションツールの利用を促したりなど、全社的にさまざまな施策に活用している」と井筒氏はその活用法と効果を示した。

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