7月21~23日まで東京・六本木アカデミーヒルズで開催された日経BP社主催のマーケティング関連カンファレンス「Digital Marketing Week 2015」。初日午後からデジタルマーケティングに関する幅広いテーマを対象にしたさまざまなセッションが繰り広げられた。

 freee代表取締役の佐々木大輔氏によるセッション「クラウド会計ソフトシェアNo.1 freee急成長を支えるデジタルマーケティング戦略」もその一つだ。freeeは2012年に創業したITベンチャー。同社開発のクラウド会計ソフト「freee」は、主に10人以下の中小企業や個人事業主をターゲットとしており、簿記の知識がない人でも簡単に扱えるという特長を持つクラウドソフトだ。2年前にリリースされ、昨年末には、freeeは「クラウド会計ソフトシェアナンバーワン」(佐々木氏)を獲得するまで成長した。

freee代表取締役の佐々木大輔氏
freee代表取締役の佐々木大輔氏

 そんなfreeeの成長を支えてきたのは、価値あるマーケティング活動である。佐々木氏はこのマーケティング活動を進めるため、5つのこだわりを持って取り組んできたと明かす。それは「『マジで価値があると信じるものを提供する』『必ずやってみる』『徹底的に振り返る』『経験や常識を打ち破るチームを作る』『自らがクラウドを使いこなす』である」(佐々木氏)。

 「マジで価値ある」とは同社が2013年に作った価値基準の1項目。freeeのリリースも「マジで価値あると信じるものを提供する」ことを貫いた結果である。実は同ソフトを企画した当初、「経理ソフトは間に合っている」「自動で会計処理ができるなんて信用できない」と顧客からの反応は芳しくなかった。それでも「自分たちの考えたアイデアを最後まで試してみようとリリースに踏み切った」(佐々木氏)のである。

コンテンツマーケティングに力を入れる

 現在、同社のマーケティング活動の主軸を担っているのはコンテンツマーケティングだ。マーケティングチームでは常に「マジで価値あるのか?」を合い言葉に、コンテンツの企画を検討、制作しているという。「経営ハッカー」や「世界一ラクにできる銀行比較サイト」というコンテンツはその代表例だ。

 「経営ハッカー」は、中小企業を経営していく中で、身をもって感じたお役立ち情報を発信していくコンテンツ。一方の「世界一ラクに~」は、全国約130の銀行とそれらの銀行が提供する約260のプランの中から、自社の会計業務に適した銀行やオンラインバンクを簡単に見つけるためのサイトだ。

 これらに加え、最近、会社設立が5分でできるツールの提供を始めたという。「このニュースを流したところ、大きな反響を得た。オンラインマーケティングにおいては、このように常にアウトプットしていくことが重要だ」と佐々木氏は語る。

 そのため同社ではコンテンツを作る部署にマーケティングリソースを集中させ、振り返りを徹底させて、「やってみては改善する」ことを繰り返してきた。「定量的な分析はもちろん、定性的な振り返りも行っている。当社では3カ月に1回、チームのミッションと当社の価値基準に対して、自分たちの行動はどうだったかを振り返る。これが大事」と佐々木氏は言う。

 そんなマーケティングチームは、「新しい概念を学び、吸収していける若いメンバーで構成している」(佐々木氏)。彼らの「経験や常識を打ち破る」独自発想に期待しているからだ。また、クラウドサービスを打ち出す会社だからこそ、「マイクロソフト『Office』でさえパソコンにインストールせず、営業が使う電話も従来の電話は使わずに、徹底的にクラウドサービスを活用し、使いこなすことを実践している」と佐々木氏は言う。

 これら5つのこだわりが、freeeの「マジで価値あるマーケティング活動」を生み出しているのだ。

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