「Instagramとは、単なる画像の集合ではなく、コミュニティなのです」

 2日目を迎えたマーケティング関連カンファレンス「Digital Marketing Week 2015」の基調講演において、米インスタグラムでマーケット開発部門の責任者を務めるマット・ジェーコブソン氏が、「インスタグラムの広告事業の展望」というテーマで熱弁を振るった。

 ジェーコブソン氏はおよそ10年前に、まだ黎明期の米フェイスブックに8人目の従業員として参加。その後、2012年にインスタグラムがフェイスブックファミリーの一員になった頃より現在のポジションにある。

 「Instagramは市場に受け入れられ、たくさんの人の『お気に入り』になりました。例えば、(著名な米国人ファッションデザイナーである)マイケル・コースは過去100年で最も素晴らしい発明だと言ってくれています」

米インスタグラム マーケット開発部門責任者 マット・ジェーコブソン氏
米インスタグラム マーケット開発部門責任者 マット・ジェーコブソン氏

 Instagramは今、世界で約3億人のユーザーを抱え、そのうち米国人が占めるのは30%で、世界中に普及しつつある。日本でもこの1年でユーザーの数は倍増した。ユーザー全体の3分の2に当たる約2億人が毎日Instagramにアクセスし、平均して1日当たり21分を費やしている。

 ジェーコブソン氏は趣味のカメラを片手に、自らのInstagramのフィード画面を紹介した。「私はサーフィンが好きでよくハワイに行きます。またヴィンテージウォッチを集めています。相撲に興味があるので前回、来日した際には相撲部屋を訪れました。さらに、このデニムは大切な記念品で、完璧な状態に保つために3年半洗っていません。これによって私自身がどういう人間であるのか、フィードを見れば分かります。ばらばらの絵ではなく、ストーリーが語られているからです」。

 Instagramのミッションは、ユーザーそれぞれの世界のある瞬間をとらえ、多くの人々と共有することにある。そしてInstagramがTwitterやFacebookと大きく異なるのは、およそ半数のユーザーが自分の知らない人をフォローしていたり、多くのユーザーが、インスピレーションを受けるお気に入りのブランドをフォローしていたりする点にある。画像は普遍的な言語であり、大切な人と共有できるとともに、面識のない人々にも計り知れぬ影響を与えることができると分かる。

 「Instagramは、シンプルさ、クリエイティブ、そしてコミュニティという、3つのアイデアを実現するために開発された。ユーザーは、ファッションやデザイン、セレブリティ、そしてインスピレーションにあふれたコンテンツを、縦横比1:1の真四角なフォーマットを通じて共有しているとも言える」

画像がユーザーに語りかける

 ジェーコブソン氏は、Instagramを広告メディアとして活用する際に重要なのは、広告主であるブランドが自らのアイデアを具現化する画像を作りだし、それ自体がコミュニティの一部としてネイティブな形でユーザーに話しかけることだと話す。日本は広告としてのInstagramを取り入れた世界で8番目の市場である。日本企業がInstagramを広告に使った好例として、日清食品の「チキンラーメン」と、土屋鞄製造所が紹介された。今年9月には利用できる国がさらに増え、よりグローバルな展開が予定されているという。

 「Instagramはクリエイティブなキャンパスであり、ユーザーが使うだけでなく、ブランドや広告代理店がクリエイティブな作戦を実行する場でもあります。そしてユーザーが使っているすべてのツールを、ブランドも同様に活用できる。これが重要です」

 そしてInstagramの広告としての利用を成功へ導く原則を3つ挙げた。広告がブランドにとって適切なものであること。他のメディアで展開しているものと同様のコンセプトを持つこと。このコンセプトを軸に1つのイメージでストーリーを語れること、である。人びとの共感を得るためにはいずれも重要な原則であり、そのためにクリエイティブに創意工夫を凝らすことがエンゲージメントを高める。

 実際、Instagramがこれまでに行ったすべてのキャンペーンを追跡した結果、その97%がユーザーの広告想起につながっていたという。そして最後にジェーコブソン氏はこう付け加え、講演を締めくくった。

 「Instagramのプラットフォームはこれから世界に広がっていきます。この状況に今とてもわくわくしています」