Delivery Planetはスマートフォンのアプリとして人気を集めるゲームに着目し、それをリアルの消費に結びつけ、これまでとは全く異なる消費行動を生み出した。一方、消費サイクルの加速を促すのが、スマートフォン向けのフリマアプリだ。

フリマアプリで消費のサイクルが加速
フリマアプリで消費のサイクルが加速
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 メルカリ(東京都港区)の「メルカリ」や、Fablic(東京都渋谷区)の「Fril」が代表的なサービスだ。メルカリは1500万件、Frilは360万件、それぞれダウンロードされている。メルカリはすべての消費者を対象としている一方、Frilは女性以外は利用できないことなどが、ダウンロード数の差として表れている。

 いずれのサービスも、利用者はスマートフォンのカメラ機能で出品したい商品の写真を撮影し、価格などを設定することで簡単に出品できる。取引はサービス事業者が仲介役となる。購入者から商品の代金を預かり、出品者に発送を促す。購入者に商品が到着した後に、出品者が管理画面から支払い申請をする。

 こうしたフリマアプリが若年層、とりわけ女性を中心に人気を集めている。メルカリはF1層( 20~34歳の女性)が利用者の中心で、Frilは10代後半~20代前半がメーンの利用者だ。特に活発に売買されているのが、ファッション関連商品だ。メルカリでは売買される商品のうち、「レディースファッション」の割合が最も高く27%を占める。一方、女性向けに特化したFrilは、6~7割をファッション関連商品が占めるという。

 若い女性の間でフリマアプリの利用が広がると、消費者が出品する商品ばかり売れて、新品の商品が売れなくなるとも考えられる。しかし、「それは大きな誤解」とメルカリ取締役の小泉文明氏は指摘する。同社が利用者に直接、利用方法について尋ねると、「メルカリで売ることを前提に洋服を買う。2~3回着用しても定価の6~7掛けで売れる。売れた金額に少し金額を足して新しい服を買うといった、レンタルに近い形でファッションを楽しむケースも多い」(小泉氏)という回答を多数得たという。

 また、フリマアプリの利用が広がり、気軽に商品を出品できるようになったため、「クローゼットに空きが作れて新しい商品が買いやすくなる」(小泉氏)という効果も生まれている。

ポイントの利用は新品の方が高い

 メルカリはCtoC(消費者間取引)に特化しているため、そうした消費行動が実際に起こっているかどうかまでは、把握できない。ところが、Fril上では既に実証されている。

 Fablicは昨年8月から今年3月にかけて、アパレルメーカーと協力し、Fril上に企業・ブランドの商品を試験的に販売する「公式ショップ」を開設して新品の商品を販売した。開設期間中には全部で10ブランドの商品を取り扱った。

 CtoCの市場で新品の商品を販売することに、「当初はブランド側も懐疑的だった」とFablicの土屋信博シニアマネージャーは振り返る。だが、実際に販売してみると意外なほど商品が売れたという。サービスを終了する際には「ブランド側から継続を申し出てもらった」(土屋氏)ほどだ。

 そうした新品の商品を購入する利用者のサービス利用動向を分析すると、意外なことが分かった。Frilでは出品した商品が売れた後、その売上金を現金で口座に振り込むか、Fril上で使えるポイントに交換するか、いずれかを選べる。Fril上で商品を購入した時、全額をポイントで支払えば決済手数料がかからないため、ポイント交換を選んでFril上で再利用する人は少なくない。

 Fablicでは、ある一定の期間、そのポイントの使い方を分析した。売り上げに対してポイントが使用された比率を算出したのだ。例えば、企業・ブランドの商品の売り上げが100万円で、そのうちポイントが使われた金額が50万円だった場合、ポイントの利用比率は50%となる。分析すると、消費者の出品している商品の購入より、企業・ブランドの商品の購入にポイントが使われた割合が10ポイント高い傾向にあった。商品を売って得た収入は、新品購入に多く向かったと言える。

 国内でも利用が広がる、写真・動画に特化したSNSも新たな消費を生み出す“場”に成長しつつある。「Instagram」もその1つだ。世界中の月間利用者数は3億人超で、毎日7000万件超の写真などが投稿されている。国内においても、この1年で利用者数が2倍になるなど、急激に利用者が増えている。

 特に、ファッションに感度が高い層を中心に利用が広がっており、アパレル業界を中心にマーケティングへの活用が浸透しつつある。こうした動向にいち早く目をつけ、腕時計ブランド「BABY-G」のマーケティングに活用したのが、カシオ計算機だ。

「BABY-G」のInstagramの公式アカウント
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「BABY-G」のInstagramの公式アカウント

 具体的な活用法を紹介する前に、カシオのマーケティング戦略について説明しよう。同社は2013年に著名なタレントのモデル起用をやめ、雑誌の読者モデルなど、消費者に近い人をモデルに起用するなど、マーケティング戦略を大幅に転換した。

 戦略転換の背景には、若者のコミュニティの構造の変化がある。「趣味嗜好の多様化によって、小さなコミュニティが多数できている。そうしたコミュニティには、一般的には有名ではないものの、そのコミュニティ内で高い支持を得るモデルなどがいる。そうした方々は、著名なタレントに比べて広く好感度はとれないが、限られた範囲での影響力は極めて強い」とカシオコーポレートコミュニケーション統轄部広報宣伝部宣伝第二グループの橘美薫リーダーは説明する。

 そうしたモデルの間で利用が広がっているのが、Instagramだ。一般的には知られていないモデルが、Instagram上に10万人以上のフォロワーを抱えるケースは珍しくない。彼女たちを中心としたコミュニティが無数に存在しているわけだ。そうしたコミュニティに1つずつアプローチをするのが、BABY-Gのマーケティング戦略だ。

サイトのアクセス数が売り上げと相関

 カシオは、サンプルとして商品を起用したモデルなどに提供している。彼女たちが自発的にInstagramにBABY-Gを着用した写真を投稿してくれる可能性があるからだ。写真が投稿されれば、そのモデルを中心としたコミュニティへの伝播が期待できる。またカシオ自身も、Instagram上にBABY-Gの公式アカウントを開設し、商品に関する写真を投稿している。モデルが写真をInstagramに投稿する際、BABY-Gのアカウントを紹介してくれることもあるため、それがきっかけで新たなファンの獲得にもつながっている。

 そうしてBABY-Gに関心を持ってもらいながら、自社サイトに誘引することを狙う。カシオはオウンドメディアを強化しており、BABY-Gのブランドサイトのアクセス数の増加が、売り上げ増と相関するというデータが出ているからだ。Instagramの活用を積極化したことにより、2014年のBABY-Gのサイトのアクセス数は前年比で1.4倍に増加。その結果、2014年度の売り上げも前年度比で1.3倍に増加した。もちろん、Instagramだけの力ではないかもしれないが、貢献度は高いと見る。

 また、消費者主導で新たな流行も起こっている。それが、デジタル時計「F91W」など、大手EC(電子商取引)サイトなどで1000~2000円前後で販売されている商品を総称する「チープカシオ」の流行だ。安価なことから、若者でも複数購入できるため、毎日付け替える時計として、SNS発で流行している。

 例えば、Instagramではハッシュタグ(#)と呼ばれるキーワードを付けて投稿する機能の利用が浸透している。カシオの安価な商品を身に着けて撮影した写真には「#チープカシオ」「#チプカシ」などのハッシュタグが付けられ、それらのハッシュタグ付きで投稿された写真は4000枚超に上る。こうした写真が話題になり、興味を持つ人が増えて、商品の購買につながっている模様だ。