今年2月、米グーグルが、企業向けに有料で提供するサイト内検索サービス「Google Site Search」を終了することを告知した。サービス提供は2018年3月末日までとなる。グーグルは無料で利用できる「Googleカスタム検索エンジン」も提供しており、こちらは2018年4月以降も引き続き、サービスを提供する。

 Googleカスタム検索エンジンは無料である分、検索結果ページにGoogleのロゴや検索連動型広告が示される。Googleのロゴが出ることや広告表示で他サイトへの離脱が気になる場合は、他のサイト内検索サービスへの乗り換えが必要になる。

 サイト内検索の精度を重視してサイトを運営してきたのがホンダだ。同社ブランド・コミュニケーション本部広報部Web・社内広報課主幹の治部袋賢治氏は、サイト内検索の重要性について次のように語る。

 「理想はサイト来訪者がナビゲーションメニューだけで、知りたい情報にすぐたどり着けること。そのためにサイト改善を積み重ねているがコンテンツは増える一方。知りたい情報がピンポイントで明確なときほど、サイト内検索はよく使われる。ここでニーズに合ったページを返すことがおもてなしだと考えている」

リリース検索も強化したホンダ

 ホンダが10年以上にわたって採用してきたのが、マーズフラッグ(東京都新宿区)が提供するサイト内検索サービス「MARS FINDER」だ。

ホンダのサイト内検索結果画面
ホンダのサイト内検索結果画面

 ページ内容が一目で分かるキャプチャー付きのサイト内検索結果を表示するのが特徴。ユーザーが求める情報に最も近いであろうページを最上位に枠付きで表示する「おすすめページ機能」や、キーワードの入力中に関連性の高い第2、第3の追加キーワード候補を助言する「インテリ・アドバイザー」など機能も豊富だ。このほどホンダのニュースリリースコーナーでは、リリース専用のキーワード検索のほか、「クルマ」「バイク」「企業」「テクノロジー」などカテゴリー指定検索、発表日の期間指定ができる検索機能などを追加した。

 ホンダがサイト内検索サービスを選ぶ基準は、検索精度の向上にともに取り組んでくれることだという。例えば、サイト内検索で以前「ステップワゴン」と検索した際、検索上位にアクセサリー類のページが多く表示されたことがあった。差し当たってはステップワゴンの主要ページを管理画面から手作業で上位表示に修正する対症療法で対応は可能だ。そこから類似の問題が生じないよう、検索アルゴリズムの調整に積極的に取り組むかどうか。その点でホンダは、技術オリエンテッドなマーズフラッグと相性がよかったようだ。

 Google Site Search相当の機能があれば後は安いほどよいと考えるか、ややコストはかかっても精度の向上で使い勝手を高めて離脱を防ぐか。その選択は各社の優先順位次第ということになる。

 ホンダは自社の四輪オーナー向けに販売会社から年3回ほど不定期で情報誌「Honda Magazine」を郵送している。その中で、同社Webサイト上でサイト内検索する検索キーワードを掲載し、詳細ページへと誘導している。サイト内検索の精度を高めることで、顧客接点を強化できる場面が増えそうだ。

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