マスターカードは7月9日から「MasterCard」ブランドのクレジットカード会員を対象とする「Priceless Japan」(プライスレスジャパン)というマーケティング施策を開始した。
既に海外では「Priceless Cities」の名称で、「世界35カ国で同様の施策を実施。カード利用回数や金額が大きく伸びた実績がある」(マスターカード・シニア・ヴァイス・プレジデント・アジア/太平洋地域マーケティンググループ・ヘッドのサム・アハメド氏)ことから、日本でも展開する。
本施策は、TwitterやFacebook、LINEといったソーシャルメディアでのつぶやきや、オンライン検索ワードなどのデータを収集、分析することでインサイトを探り、クレジットカードの利用(決済)につながりそうな多様なオファーを提供するもの。例えば、消費者が沖縄旅行を検討しているなら、事前に沖縄行きの航空券やホテルを検索したり、「来週から沖縄でバカンス!」などとソーシャルメディアに書き込んだりする行動が予想できる。
そうした複数の予測シナリオの下で、2014年9月に自社開発したデータ分析ツール「Digital & Social Business Engine」を活用。ネット上の行動データから沖縄旅行を検討しているであろう人が含まれるセグメントを設定。「今、マスターカードで決済すると、沖縄の○○ホテルのスイートルームが特別価格」といったオファーを、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)経由のディスプレイ広告やメールなどで訴求する。
たった1人に提供するオファーも
Priceless Japanで提供するオファーには、(1)一般的な参加登録型キャンペーン、(2)興味関心などをフックに作成したセグメントに属する特定の人に訴求、(3)ごく少数、場合によってはたった1人に“サプライズ”的に提供、などのタイプがある。Digital & Social Business Engineを活用するのは主に(2)と(3)のタイプ。ソーシャルのつぶやきなどからインサイトを探り、オファー提供先の選定などに利用する。
オファーによる特典を利用できるのはMasterCardブランドのクレジットカードを持つ会員で、一般カードかゴールドカードかなどは問わない。もちろんディスプレイ広告などで訴求すると、マスターカードを持っていない人が目にする可能性もある。その場合はキャンペーンのランディングページ(LP)で、新たにMasterCardブランドのクレジットカードを作成するように促す。
本施策で提供するオファーは当面、「マスターカード側が企画し、特典に必要なコストも負担する」(アハメド氏)。その後、この施策の認知が上がってきた段階では、マスターカードブランドのカードを発行する銀行やカード会社などのイシュアー、そしてホテルや百貨店、小売店といった加盟店からも企画を募り、オファーの種類や特典の利用者を増やし、カード利用金額のさらなる拡大につなげていく。