ゴルフ・ダイジェスト・オンライン(GDO)は7月13日に、オンラインクローゼットサービスに参入した。顧客のゴルフバッグを預かり、スマートフォン向けアプリ上で管理できるサービス「DUFL GOLF with GDO」の提供を始めた。サービスは米国発のオンラインクローゼットサービス「DUFL」と共同で提供する。同サービスはCRM(顧客関係管理)戦略強化の一環という位置付けで提供する。既存顧客を中心に利用を促して、1人当たりのLTV(顧客生涯価値)の向上につなげたい考えだ。

新たに提供するDUFL GOLF with GDOは、利用者からゴルフバッグを預かって保管するサービス。利用者はアプリ上で保管したゴルフバッグを管理できる。例えば、ラウンドの予定が決まったら、アプリから利用するゴルフ場を指定するだけで、プレー前日までに専用のケースに入ったゴルフバッグが指定のゴルフ場に届けられる。利用者はプレー当日にゴルフバッグを受け取り、そのままプレーできる。プレー後はゴルフ場に預けるだけで、DUFLが回収して、手入れをした上で再び保管される。
利用者は自宅にゴルフバッグを置いておく必要がなくなる上に、プレー後にはゴルフクラブの泥を洗い流すなどメンテナンスを施した上で保管されるため、劣化の防止につながるといった利便性を享受できる。
サービスを開発する上でGDOが手を組んだDUFLは、米国で出張の多いビジネスパーソンを対象に、スーツやシャツなどを預かるオンラインクローゼットサービスから事業を開始した。現在はゴルフやスキーといったスポーツ用品の管理にも手を広げている。
GDOは同社と組むことで、ゴルフバッグを預かるための倉庫や管理をするための担当者を用意することなく、サービスを提供できると考えた。一方のDUFLは、ゴルフ利用者を多く抱えるGDOと組むことで、顧客開拓が期待できた。こうして両社の思惑が一致したことで提携に至った。
また、需要も十分見込めた。「ヤマト運輸は年間500万件のゴルフバッグの配送を請け負っている。また、GDOの会員の半数がゴルフバッグを2つ以上所有しており、5個以上所有している会員も200人以上いた。そうした層の2割がクローゼットサービスに関心があると回答した」(GDO経営戦略本部の渡邉信之本部長)。
ターゲット層としては、GDOの持つ300万人のうち約半数を占める40~50代を想定している。そうした層のうち、ゴルフ場までの距離が遠く、かつマンション住まいなどで自宅のスペースが限られる首都圏在住の会員が、より有力なターゲット層となる。そうした層に対して、サービスを訴求して利用を促す。
今後はポイント連携を視野
さらに、GDOはこの新しいサービスをCRMの一環としても活用していく方針だ。同社の主な収益源、はゴルフ場の予約サービスと、ゴルフ用品を販売するEC(電子商取引)サイト。ところが、これら2つのサービスは「これまで併用率が低い」(渡邉氏)ことが課題となっていた。
例えば、GDOの会員のうち約6割がゴルフ会員権を有する。そういった層はECサイトは利用するものの、ゴルフ場予約はあまり利用しない。また、逆にゴルフ場予約はするもののECサイトを利用しない層は、価格などの面から大手EC事業者などに流れていた可能性が高い。
これを解消するために、従来は別れていた2つのサービスのロイヤルティープログラムを6月に統合した。ゴルフ場予約とECサイトのどちらを利用しても共通のポイントがたまり、そのポイントに応じて会員のランクが5段階で上がる。グレードが上がることで一部の商品は価格が下がり、お得に利用できるなどの特典が受けられる。「ゴルフ場予約しか利用しなかった層にも、ランクが上がったことを伝えるなどして併用につなげていく」(渡邉氏)。
今後、このロイヤルティープログラムにDUFLも組み込む方針だ。既にIDは連携されており、DUFLを利用する場合にGDOのIDでログインできる。現状はGDOのIDでログインできるだけにとどまっているが、将来はポイント機能も連携する。DUFLを利用することでGDOのポイントがたまり、会員ランクが上昇するといった具合だ。
また、DUFLはECのプラットフォームも持つため、ゴルフボールなどの一部の消耗品を中心に、DUFL上でも販売をする。DUFL利用者はそうした商品を事前に購入し、ゴルフ場にゴルフバッグと一緒に届けてもらえば、消耗品も持っていく必要がなくなる。この商品購入においても、利用動向を分析しながらロイヤルティープログラムとの連携強化を視野に入れる。
これらのサービスの利用データは、昨年導入したMA(マーケティングオートメーション)ツールに蓄積する。「顧客データを統合的に持つことで、より精緻に、顧客行動に合わせたマーケティング施策が展開できるようになる」(渡邉氏)。IDを軸としたデータドリブンなマーケティングを実施することで、さらなる事業の成長を目指す。