スマートフォン向けフリーマーケット(フリマ)アプリ「メルカリ」を提供するメルカリ(東京都港区)はコンビニエンスストア連携を強化する。これまでもコンビニ支払いを可能にしてきたが、今秋を目処に、アプリの利便性の向上を目指し、コンビニと提携。コンビニに設置されている端末にQRコードをかざすだけで送り状が印刷できるサービスや、取引相手に住所などを知らせず匿名で配送できるサービスなどを提供する計画だ。

 メルカリはスマートフォンに特化したフリマアプリ。アプリの提供開始からダウンロード件数は1500万を超えるなど、利用者が急増している。「現在も、毎月100万件ずつダウンロードされている」(メルカリ取締役の小泉文明氏)。毎日数十万品が出品され、月間流通額は数十億円に達している。

 ネットを介して消費者同士が物を売買するCtoC(消費者間)取引サービスでは、ヤフーの「ヤフオク!」が先駆けだ。「当社はヤフオク!と比べて後発ゆえに、カスタマーサポートや物流を強化して利便性を高めることで他社との差異化を図り、これまで消費者間取引に消極的だった層を取り込んでいく」(小泉氏)。そうして、スマートフォンにおける消費者間取引のプラットフォームとしての存在感を高める狙い。

F1層が多いユーザーに配慮

 新たに提供するサービスのうち、コンビニでの配送手続きの簡略化は、現在先行して、ヤマト運輸の営業所で提供しているQRコードを使った、送り状の発行サービスをコンビニにも対応させるもの。メルカリは、アプリ上で取引相手の配送先の情報を含むQRコードを発行して、ヤマト運輸の営業所に持ち込んで、店頭にある端末「ネコピット」で読み込むと送り状が印刷されるサービスを提供している。利用者は送り状を書く手間が省ける。このサービスを、コンビニの店頭に設置されている情報端末にも対応させる方針だ。

 また、メルカリは利用者層として女性が多い。コアユーザーはF1(20~34歳の女性)で、売買されている商品の27%を女性向けファッション関連商品が占めるという。そのため、「住所を取引相手に知らせることを不安に感じる利用者も多い」(小泉氏)。そこで、匿名で配送できるサービスも始める。メルカリのIDには、サービスに登録されている住所がひも付いている。利用者同士がIDの交換を行えば、そのIDにひも付いた情報をヤマト運輸側で把握して、配送に対応する。

 「ネットのリテラシーが高くない消費者の中には、分からないものには手を出さないという人も少なくない。なるべく多くの人に使ってもらうためにも、利用方法を簡略化していきたい」と小泉氏は言う。新サービスに先駆けて4月には、ヤマト運輸と提携して、同社の営業所に直接持ち込めば、全国一律の料金で配送できるサービスを始めている。

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