SNS映えするアイスを開発

購入要因で、企業のLINE投稿が多かった企業<br>(※購入者50人未満の企業は除く)
購入要因で、企業のLINE投稿が多かった企業
(※購入者50人未満の企業は除く)
「チャレンジ・ザ・トリプル」の開始を知らせるLINE投稿
「チャレンジ・ザ・トリプル」の開始を知らせるLINE投稿

 消費行動スコア56.5でデジタルマーケティング100では28位ながらも、購入要因メディアとして「その企業のLINE投稿・広告」を挙げた人が多い企業のランキングで3位に入ったのが、B-R サーティワン アイスクリームが運営するアイスクリームチェーン「サーティワンアイスクリーム」だ。

 同社がLINE公式アカウントを開設したのは2013年8月。当時はLINEの主な利用者であった10~20代の若年層にリーチするのが狙いだった。その後、LINEを利用するユーザー層は20~40代のファミリー層にまで拡大。今や「私たちのターゲット層と大きく重なるようになった」(企画本部マーケティング部の小池淳平マネージャー)。

 顧客の反応が他の手段と比べて良いことも、LINEを重視する理由だ。新商品情報などをLINEで発信すると、「埋め込まれたURLを顧客がタップしてランディングページに飛ぶクリック率が20%に届くこともある」(企画本部の高谷昌之マーケティング部長)という。

 この反応を高める工夫の1つが、見た目重視の商品開発である。ここ1~2年、味よりも、写真映えする見た目重視の新商品のほうが、ヒットする傾向が強くなってきた。実際、LINEやFacebookといったユーザー自身のソーシャルメディア上に、サーティワンアイスクリームの見た目のよい新商品の写真が頻繁に投稿され、拡散している。そこでマーケティング部門が商品開発部門に働きかけ、昨年後半から写真映えする商品の開発に踏み切った。今年6月1日に期間限定で発売した新商品「カモフラージュ」「ピンク カモフラージュ」「ブルー カモフラージュ」は、こうした見た目重視の新商品開発から生まれたものだ。

 デジタルマーケティング100の作成に当たり、別途、「推奨スコア」を算出した。各企業・ブランドごとのデジタルメディア接触者のうち、当該企業やブランドを閲覧した後の行動として「友人・知人に商品・サービスをすすめた」と答えた人の割合をスコア化している。顧客のロイヤルティーを測る指標として昨今、重視されるNPS(ネット・プロモーター・スコア)の簡略版と考えてもらってよい。

キャスト自ら発信するTDR

 その推奨スコアランキングで首位に立ったのが、オリエンタルランドが運営する「東京ディズニーリゾート(TDR)」である。

「推奨スコア」ランキング
「推奨スコア」ランキング
自社サイトに掲載するブログはTDRのスタッフが交代で執筆
自社サイトに掲載するブログはTDRのスタッフが交代で執筆

 同社が力を入れるのは、企業公式の各種ソーシャルメディアアカウントや自社サイト上に掲載するブログをオウンドメディアとして活用し、「TDRで日々起きている日常の情報をこまめに発信していくこと」(マーケティング本部マーケティングコミュニケーション部Webコミュニケーショングループの山口かおりチーフリーディングスタッフ)だ。それによって、顧客から親近感を抱いてもらうことを狙っている。

 中心となるのは、連携して情報を発信しているブログとFacebookである。Facebookには、見出しと簡単な内容紹介文、それにブログへのリンクを投稿し、来訪者をブログへ誘導してコンテンツを読んでもらうようにしている。

 コンテンツの中身を書いているのは、TDRで「キャスト」と呼ばれる従業員たち。オリエンタルランドの各部署から約20人が参加する毎月の定例会議で、どんなネタをどの部署の誰が書くのかを決め、Webコミュニケーショングループが取りまとめて、毎週月曜から金曜までほぼ毎日更新していく。

 新しいショーやアトラクションの紹介といった顧客の来園に直結する内容もあるが、ショーやレストランの舞台裏の解説や、TDRのどこにどんな木が植えてあるかの解説といったマニアックな内容のものも少なくない。「TDRの素晴らしさを最もよく知るのはキャスト。そのキャスト自身が語ることで、TDRの魅力が顧客に最も伝わると考えた。いったんオファーしたら、内容は基本的にお任せ。そのほうがTDRの日常が生き生きと伝わる」と山口氏は語る。記事を読んだ顧客は自分の知らないTDRの魅力に気づき、いつの間にかTDRのファンになっているというわけだ。記事の最後に書き手のイニシャルを示すことが許されており、読者が熱心なファンになることも珍しくないという。

 一方、120万人弱のフォロワーを抱えるInstagramは、ミッキーやドナルドのようなディズニーらしい写真を排し、1回の投稿に付きTDRの一部を切り取った美しい写真1点だけを載せるという異色の方針を採る。「TDRの別の顔を伝える」(山口氏)のが狙いだ。

 ゲストが自身のInstgaramに投稿したTDRの写真の中に良いものがあれば、交渉して公式アカウントで紹介もしている。「現在は週3回ほどの投稿のうち、1回はゲストの写真を紹介している」(山口氏)。Instagramには、顧客との交流を図る役割も与えられているのだ。

 知人への推奨意欲が高まる背景には、ソーシャルメディアの公式アカウントやオウンドメディアを使った、顧客との密なコミュニケーションがあると言ってよさそうだ。