通販専門化粧品ブランド「米肌」を展開するコーセープロビジョン(東京都中央区)は、顧客との接触回数の増加を狙い、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用を始めた。これまで個別に実施していた、メールマーケティングやネット広告の活用、そして無料通話・メールアプリ「LINE」のアカウントでの情報発信を、MAツールで統合的に実施する。取り組みの最大の目的は、LTV(顧客生涯価値)の向上だ。

コーセープロビジョンが昨年から始めたLINEのアカウントによる情報発信
コーセープロビジョンが昨年から始めたLINEのアカウントによる情報発信

 コーセープロビジョンにおけるマーケティングの基本は2ステップマーケティングだ。米肌のトライアルセットを購入してもらい、その後に本商品や定期購入などへの申し込みにつなげる。そのため、初回購入した顧客を継続購入へと促し、優良顧客に育てるマーケティング施策が求められる。同社事業管理グループの針金一平マネージャーはLTVの向上に効果的なポイントを3つ挙げる。「獲得媒体」「ブランドや商品情報を伝えるコンテンツ」、そして「ブランドや商品との接触回数」だ。「この3つのポイントの掛け合わせが、LTVの向上に大きく影響する」と針金氏は見る。

 例えば、接触回数の増加によるLTVの向上を示す例では、LINE公式アカウントの活用が挙げられるだろう。同社は昨年、LINE上に公式アカウントを設置した。単にアカウントを開設して一律の情報発信をするだけではなく、「LINEビジネスコネクト」を採用することで、LINEのIDと自社のEC(電子商取引)サイトの会員IDを接続。個別のメール配信の実現や、その効果の精緻な測定を可能にしている。

 これまで取り組んできた自社サイトやメール、Facebookを始めとするソーシャルメディアでの情報発信にLINEを加えることで、より多くのチャネルで情報に触れてもらうことを狙う。実際、このLINE公式アカウントに「友だち」登録をしている会員を分析したところ、リピート率は、非登録者と比較して1.5倍高い結果になっている。つまり、情報と接するチャネルが多岐に渡ることは、LTVの向上につながる可能性が高いと言えよう。

それぞれの施策が分断されていた

 ただし、従来はメールやLINEの配信、広告施策を個別に実施しており、データの分断が起こっていた。そこで、新たにブレインパッドのMAツール「Probance Hyper Marketing」を導入した。これにより、1つのプラットフォーム上で、各施策の実施を可能にした。

 MAを活用する上では、初回に購入したトライアルセットの種類に応じて、大きくセグメントを切って情報を配信する。例えば、年齢による肌のたるみやシワが気になる人向けのセットや、シミやくすみへの対策を希望する人向けのセットを用意している。当然、それぞれの商品は購入の動機が異なる。そのため、継続購入への引き上げを図る際に配信すべき情報も顧客セグメント別に変え、複数のチャネルを活用した横断的なアプローチを始める。

 例えば、初回購入から3日後にフォローのメールを送信する。次いで、1週間後には、LINE公式アカウントに友だち登録している会員に対して、LINEを通じて情報を届ける。また、併せて本商品の購入を促すディスプレイ広告を、リターゲティング広告として配信するといった具合だ。

 針金氏は「MAはさまざまな分岐を作り、複雑なシナリオも設定できるが、あまりシナリオありきで考えると、どの施策が効いたか分かりづらくなる」と指摘する。

 コーセープロビジョンにとっては、あくまでLTVの向上が目標。シナリオ設計が目的ではない。そこで、まずは接触回数の増加がLTVの向上に効くという仮説を検証する。その後、例えばLINEのメッセージを会員がきちんと読んだ場合には、次のメッセージを送ったときと送らなかったときとで、LTVに違いが出るかどうかといった分析を進める予定だ。そうすることで、より効果的な施策へと磨き上げていく。