ダスキンが顧客と販売員とに向けたデジタル活用を強化している。会員制サイト「DDuet」は、顧客と販売員がそれぞれの用途に応じて、さまざまな機能を利用できる。4月にも、顧客と販売員向けに新サービスを開発して提供を始めた。

4月に開設したポイントモール「DDuetモール」
4月に開設したポイントモール「DDuetモール」

 同社はかねて2つの経営課題を抱えていた。1つは顧客との接点だ。ダスキンと顧客との接点は4週間に1回のレンタル商品の取り替え時のみ。ブランドとの接点は希薄だった。

 DDuetでさまざまなサービスを提供し、日々サイトを訪れてもらうことで接点の拡大を狙う。例えば「コエタス」というコーナーは、顧客の声を集め、マーケティングに役立てている。現在販売している「バススポンジ柄つき」は、再販を望む顧客の声が多かったため再販を決めた。「コエタスには商品の改善案や要望が毎月200~300件も寄せられる」(クリーン・ケア営業本部顧客接点開発部の平野英司部長)。

 現状、DDuetのアクティブ率は約3割程度。これを高めるため、4月からは既存顧客を対象としたポイントモール「DDuetモール」も始めた。同モールを経由して大手EC(電子商取引)モールなどで買い物をすると、購入金額に応じてポイント「DDuetコイン」がたまる。ためたコインは1ポイント1円として、ダスキンの商品購入やサービス利用時に使える。

 ダスキンが会員サイトの機能を強化するのは、同サイトの利用者はLTV(顧客生涯価値)が高まると数値から立証されているからだ。平野氏はこう明かす。「DDuetの利用者は、非利用者と比べて解約率が3%低下する」。10万人の会員がいれば3000人の解約引き止め効果があるため、大きな成果だと認識している。

顧客のスマホで決済できる機能

 もう1つの経営課題は、販売員の商品知識の偏りだ。ダスキンの主な販売チャネルは、加盟店による訪問販売。ところが直営店でないことや販売員の高齢化などによって、販売員の商品知識に偏りが出始めた。この課題の解決策もDDuetにある。

 「ダスキンファミリー」という販売員だけが利用できるコーナーを用意し、商品知識を補うための商品動画などを掲載した。販売員は、訪問先でタブレット端末を使い、こうしたコンテンツを使って説明できる。

 また、4月からは訪問販売でも、顧客のスマートフォンを使って決済できる仕組みを導入した。販売員の持つスマートフォンに顧客の電話番号、氏名、価格を入力すると専用のQRコードが画面に表示される。そのQRコードを顧客がスマホのカメラ機能で読み取り、自身のスマホを操作してクレジットカード番号などを入力すると決済が完了する。「平均年齢60歳を超える販売員の仕事の負担を減らすデジタルツールを開発している」と平野氏は言う。

 デジタルを活用することで、顧客と販売員の両方に価値を生み出していく。それによって生まれた新たな収益や浮いた経費を、さらにデジタル開発へ向けて投資していく考えだ。

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