食品用ラップフィルム「NEWクレラップ」を主力商品に持つクレハは、約2万1000人が登録する自社コミュニティー「クレラップ コミュニティ」上で、動画を活用したマーケティングを5月中に始める。動画は演出家の平田オリザさんの脚本を起用した、ドラマだ。

 ストーリーの中に、クレラップの機能にフォーカスしたシーンを盛り込み、ドラマを楽しんでもらいながらクレラップの特長を伝える。動画の長さは3~4分。初めての動画施策のため、反応を見ながらより適切な尺を検証する。また、動画の最後にはクレラップに関するクイズも実施して、理解を深めることを目指す。

約2万1000人が会員登録する自社コミュニティー「クレラップ コミュニティ」
約2万1000人が会員登録する自社コミュニティー「クレラップ コミュニティ」
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 クレハがこうした動画施策を実施するのは、コミュニティーの運営を通して、「機能について関心を持つ会員の方がロイヤリティは高い傾向にある」という結果が、データで明らかになっているからだ。

コミュニティーで顧客の傾向分析

 コミュニティーでは、クレハや会員がテーマを投稿し、そこに会員が意見や感想を書き込める。テーマはライフスタイルに関するものからレシピに関するものまで、幅広い。

 コミュニティーの開設当初は対話に重きを置き、宣伝色が出ないような運営を心がけていた。ただ運営するにつれて、NEWクレラップに関する情報を発信すると会員の反応が高くなると分かった。例えば、「ラップを切る刃がプラスチック製であることは意外と知られておらず、楽しんでくれる」(リビング営業統括部長の増田泰男氏)。そのため最近は、「ラップを購入する際、あなたが重視するところとは?」といった製品に関するテーマも設けている。

 これらのテーマに対し、意見や感想などを投稿したり、投稿されているコメントに共感して「拍手する」ボタンを押したりすると、会員にはポイントがたまる。投稿はしない会員でも、どんなコメントに拍手するかで興味関心が分析できる。クレハではこうしたコミュニティーの利用データと、会員へのアンケート調査データを組み合わせて、会員の傾向を分析している。データ分析やコミュニティーの運営は、エイベック研究所(東京都港区)の協力を得ている。

 その会員の分析結果から、こんな傾向が明らかになった。家庭内の全ラップ利用のうちNEWクレラップが5割以上を占めるロイヤリティーの高い会員は、全拍手のうち25.2%をNEWクレラップ関連の話題が占めていた。一方、同様の指標で見ると、NEWクレラップの利用が4割以下の会員は14.9%だった。

 こうした結果から、NEWクレラップの機能について理解を深めることで、4割以下の会員を優良顧客に引き上げられる可能性があるという仮説を立てた。とはいえ、機能を技術的な観点から事細かく伝えても、主婦層が中心の会員には響きにくいと考えられた。そこで、ドラマの動画を通じて、自然とNEWクレラップの機能の理解を進める施策の実施を決めた。こうした会員分析と施策実施を繰り返して商品理解を促進し、NEWクレラップのブランド関与度を高めることを目指す。