婦人靴専門店「銀座かねまつ」を展開する、かねまつ(東京都中央区)は4月25日、銀座4丁目店に、POS(販売時点情報管理)システムのデータと連携したレコメンドのサービスを導入した。POSレジを通過した際に、購入した商品や過去の購買履歴に応じて、商品購入者に合った商品を薦める仕組み。EC(電子商取引)サイト上におけるレコメンドと、同様のロジックとなっている。
POSレジで顧客が購入した商品のバーコードを読み取ると、レジと連動したプリンターから、商品を購入した顧客に適した商品一覧を掲載したカタログが、自動印刷される。このカタログを、顧客に商品を手渡す際、案内をした上で渡す。
レコメンドのロジックは2つある。まず、会員軸だ。かねまつでは、一定の条件を満たす優良顧客を囲い込む会員制度を持つ。1足につき1万円以上の商品を購入した来店者に、5枚以上集めると割り引きに使える「かねまつカード」を渡している。このかねまつカードを10枚以上集めて利用した顧客のみ、「CLUB COMPLICE(クラブコンプリス)」という会員制度に入会できる。現在は、銀座6丁目本店と合わせて、約7000人の会員を持つという。
この会員には磁気カードを渡しており、そのカードに登録された情報にひも付けて過去の購買履歴などもすべて管理できている。したがって、この会員が買い物をした場合には、過去の購買履歴も鑑みて、顧客に合った商品一覧が印刷される。
一方で、会員ではない顧客の場合、過去の購買履歴をかねまつが持たないため、商品軸でのレコメンドとなる。例えば、Aという商品を買った場合に、過去にそのAという商品と併せて購入された商品などが、今後購入する見込みが高いと判断されて印刷される。
QRコードからECに誘導
レコメンド商品の一覧がプリントされたカタログには、商品ごとにQRコードが掲載されており、それをスマートフォンのバーコード読み取りアプリなどで読み込むと、かねまつのECサイト上で商品を購入することもできる。これにより、カタログからどれくらいECサイトに誘導できたか、商品の購入につながったかといった効果測定にも利用する。
こうした取り組みを実施する理由を、IT統括部基幹システム課の吉澤博課長はこう説明する。「これまでは再来店を促す仕組みがなかった。このレコメンドのカタログで新たな商品の発見につながれば、実店舗への再来店やECサイトの閲覧につなげられるのではないかと考えた」。
そのため、再来店率に重きを置いて効果を検証する。印刷されたカタログを持って来店し、1万800円以上の買い物をしたお客さんには、カタログと引き換えに賞品をプレゼントするキャンペーンを実施している。
実はカタログには個別のレシート番号が割り振られているため、かねまつ側で過去のレシートを再発行してカタログと併せて保管し、分析に生かしている。効果検証はPOSと連動したレコメンドシステムを開発したサイジニア(東京都港区)の協力を得て実施する。
そうして、再来店率はどのくらいか、そしていくらの商品の売り上げにつながったのかといった売り上げ貢献を合わせて分析して、今後のマーケティングに生かしていく腹づもりだ。