格安航空会社(LCC)大手ジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)が、スマートフォン向け公式アプリのダウンロード増と「モバイル搭乗券」の利用促進に、力を入れている。

ジェットスター公式アプリで表示された「モバイル搭乗券」の例
ジェットスター公式アプリで表示された「モバイル搭乗券」の例

 モバイル搭乗券とは、スマホ画面に表示されたコード画像を読み取り機にかざすだけで、保安検査場や搭乗ゲートを通過して飛行機に搭乗できるチケットのことだ。公式アプリで表示したり、メールで受け取ったURLをクリックしてスマホで表示したりして利用する。

 このモバイル搭乗券の利用を促すため、ジェットスターは2月1日から4月30日まで、国内線でモバイル搭乗券を使った乗客に、ファミリーレストラン「ガスト」のドリンクバー無料クーポンを提供するキャンペーンを実施した。

 その結果、3月のモバイル搭乗券の利用客数は、モバイル搭乗券が利用できるようになった昨年3月時点と比べ、数字としては高くないが、当初の狙い通り「5%増えた」(ジェットスターグループのマーケティング&PR本部コンシューマーPRマネージャーを務める高橋里予氏)という。

 「全国チェーンのガストと提携し、多くの顧客に“お得感”を感じてもらったことがモバイル搭乗券の利用増につながった」と高橋氏は見る。

アプリでもパーソナライズ化へ

 ジェットスターが公式アプリのダウンロードとモバイル搭乗券の利用拡大を目指すのは、同社サービスの使い勝手の良さを広く知ってもらい、利用頻度を高めたいからだ。

 同社はLCCだけに、運賃の安さは生命線。だが、それだけでなくモバイル搭乗券のようなデジタルを活用した施策で利便性を高めることにより、競争が厳しいLCC市場で戦ってきた。

 例えば2013年7月にはローソンと提携し、日本の航空会社で初めて、コンビニエンスストア店頭での国内航空券の予約・販売サービスを開始。2016年9月にはKDDIと沖縄セルラー電話と提携し、同じく日本で初めて、国内外の全路線の航空券購入時の支払いに、キャリア決済を利用できるようにした。

 ジェットスターの公式アプリは、日本のLCCでは唯一、航空券の予約から購入、実際の搭乗までの手続きをアプリだけで済ますことができる。それだけではない。発着時刻や空港の乗り場ゲートなどが搭乗当日に急に変更された場合などでも、「アプリのプッシュ配信などで、最新の情報をリアルタイムに顧客に伝えられる」(高橋氏)。

 今後は、顧客の利用履歴などのデータを分析し、「この時期にA路線を利用する顧客は、B路線も利用する可能性が高い」といったノウハウを蓄積していく方針だ。

 既にメールマーケティングでは取り組み始めている、顧客1人ひとりに対して最適と思われる情報を配信する「パーソナライズ化」の試みを、アプリでも展開し、サービスの使い勝手の良さを高めて、それを業績向上につなげていきたい考えだ。

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