3月1日、ライオンの特定保健用食品(トクホ)飲料「トマト酢生活 トマト酢飲料」の広告に対し、消費者庁が健康増進法違反で勧告。3月30日、健康食品通販のえがお(熊本市)が販売する黒酢サプリメントの自社サイト表記が景品表示法の不当な表示に当たるとして措置命令。3月31日、健康・美容商品販売のココナッツジャパン(東京都港区)が販売するココナッツオイルも、自社サイトの効果説明が問題視され、措置命令が下った。ここ最近、健康食品に対する取り締まりが強化されている。

消費者庁は4月20日、健康食品に関する景品表示法と健康増進法の留意事項を公開した
消費者庁は4月20日、健康食品に関する景品表示法と健康増進法の留意事項を公開した
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 中でもライオンへの勧告は、健康食品通販業界に衝撃が走った。健康増進法に基づいてトクホの広告が勧告を受けるのは初めてだったためだ。何が問題だったのか。

 トマト酢生活は、消費者庁の許可を受けたトクホで、「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です」という表現レベルで効能効果を示すことが許されていた。だが、ライオンは新聞広告で、「臨床試験で実証済み、驚きの『血圧低下作用』」と表記。また「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々をサポートしようとライオンが開発した~」という表記もあった。同商品を飲めば血圧を下げる効果があるかのように宣伝したことが、消費者を著しく誤認させる広告表示とみなされた。

 トクホは、多大な費用と時間をかけてヒトの臨床試験を行い、健康維持の効能表示が国から認められた食品である。血圧の低下は実証できているため、“ウソ”とは言えない。にもかかわらず、表記の規則を逸脱したという理由で、「消費者を著しく誤認させる広告」と名指しで勧告を受けた。業界ではライオンへの同情や、トクホの認定を得るメリットを問う声が上がっている。

 広告主やメディア向けに広告関連の法律に基づいた広告審査代行を展開するイー・ガーディアンの広告品質コンサルタントの大森千草氏は、「トクホの広告は2010年に『特定保健用食品の表示に関するQ&A』と題した事業者向けガイドラインで具体的に説明されている」と語る。

 そこには、「『血圧が高めの方へ』という許可表示の食品について、『血圧を下げる』と表示することは、虚偽・誇大広告表示となるおそれがあります」と明記。このほか、「食後の中性脂肪の上昇を抑える」という許可表示で、「食後」を削ると中性脂肪に対する機能が継続的にあると誤認させるため削ってはいけないなど、かなり細かく厳しい運用を求めている。

「薬に頼らずに」の表現が抵触!?

 大森氏は、「診療が必要な疾患を持つ患者が、この商品で改善すると誤認し、適切な診療機会を逸してしまうような広告表現を、消費者庁としては問題視している。『薬に頼らずに』の表現が不適切と判断したのではないか」と推察する。

 実は競争の激しい健康食品業界でライオンの広告表現だけが逸脱していたわけではない。同等の表記は他社でも散見される。ライオンがやり玉に挙がった理由としては、昨年4月から販売が認められた、トクホより基準が緩い「機能性表示食品」でも問題のある広告表記が見られるため、トクホで抵触事例を出すことで警告を発しているとの見方がある。コピーライター泣かせではあるが、広告主は指針に沿った広告表現に努める必要がある。