4月1日に富士重工業から社名を変更して新たなスタートを切ったSUBARU。同社は今期、スマートフォン向けアプリ「マイスバル」とDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を活用した、データドリブンな広告配信の効率化やCRM(顧客関係管理)施策に、積極的に取り組んでいく。

 クルマの買い替えスパンはおよそ7年と言われる。しかし、「従来、購入後の接点といえば、点検などで顧客が販売店を訪れた時ぐらいだった」(SUBARU国内営業本部マーケティング推進部宣伝課の安室敦史主事)。しかも、SUBARUの販売店は全国で約500店とトヨタ自動車の10分1程度。そのため、整備の予約が取りづらいなどの課題を抱えていた。「(自動制御システム)アイサイトの導入で販売数は増加しているが、他社と比較するとアフターサポートなどで十分満足度の高いサービスを提供できていない」(安室氏)と強い危機感を感じていた。

 このマーケティング課題に対して、デジタルを活用することで、店舗数の少なさを補いつつ、ブランドと顧客の接点拡大につなげることを考えた。これにより顧客の満足度を高めて、クルマの買い替え時にSUBARU製品を選んでくれる愛好家を増やすことを狙う。

アプリで担当者に直接相談

 まず、店舗の少なさを補うため、新たに2月に提供を始めたのが、SUBARU製品のオーナー向けスマホアプリのマイスバルだ。同アプリは所有するSUBARU製品を登録することで、点検月や車検の満了月の確認ができる「マイカー」機能や、製品を購入した販売店での整備の予約機能などが利用できる。手元のスマホから簡単に整備の予約ができるようにすることで、店舗数の少なさを補うことを目指した。SUBARU製品の購入時に会員登録をしてもらい、すぐにアプリを利用できるように促している。

 また、「コンタクト」機能を使えば、クルマに関する相談を、担当の営業者に対して直接、アプリを通じたメッセージとして送れる。「より気軽に相談してもらえる環境を作りたかった」(安室氏)。アドレスなどを教える必要もないため、セキュリティー面でも安心して利用してもらえる。

SUBARUはさまざまなデータをDMPに蓄積する
SUBARUはさまざまなデータをDMPに蓄積する

 このマイスバルの利用データやSUBARUのWebサイトのアクセスデータ、また店舗で提供するWi-Fiの利用データはすべて、スバルの会員IDにひも付けてDMPに蓄積する。また、自動車の専門サイトを中心とする4つのサイトにタグを埋め込むことで媒体のデータも取得するほか、第三者の持つデータも併せて蓄積する。これらのデータを基に顧客の属性を分析して、最適な情報の配信に役立てる。

 具体的にはドライブ情報やイベントの案内をアプリに配信する。SUBARUは「URABUS(ウラバス)」というアウトドア情報サイトを運営している。同サイトの情報を使い、第三者のデータから釣りに関心が高い層に対しては、関連した情報をドライブ情報として配信する。アプリには、配信したドライブ情報から直接、カーナビに目的地を設定できる機能が搭載されている。情報を配信することで、外出のきっかけにしてもらう。

 今後は広告の効率化にもデータを活用していく。クルマの購入検討期間はおよそ45日間と言われているが、その検討期間の中で、見込み客の行動に合わせて広告出稿を最適化する。例えば、見込み客がスマホサイトで販売店を検索した場合には、検討の段階が進んでいると判断してリターゲティング広告の配信を止めるなど、見込み客のカスタマージャーニーに合わせた広告配信にも取り組んでいく。