別荘やその会員権の売買を手掛ける東急リゾートは、Webサイトに掲載したコンテンツに興味を持った消費者を見込み客へと育てるインバウンドマーケティングに力を注ぎ、成果を上げている。

 物件を紹介したり、資料請求を受け付けたりする自社のWebサイトとは別に、インバウンドマーケティングのために設置したリゾート情報サイト「リゾートSTYLE」への訪問者数が好調に伸びている。同サイトの今年2月の月間ページビュー(PV)は2万9310。半年前(2015年7月)の8807PVに比べると、3倍以上に伸びた。

東急リゾートが開設している「リゾートSTYLE」のトップページ
東急リゾートが開設している「リゾートSTYLE」のトップページ

 東急リゾート経営企画部営業企画グループの浅羽秀樹担当部長は、この理由を「月を追うごとに、リゾートSTYLEのコンテンツが質、量とも充実してきたから」と説明する。

 2014年6月のサイト開設当初は、「中古物件の購入を具体的に検討している消費者をターゲットに、その悩みの解決に役立つ情報を主に掲載していた」(浅羽氏)。そして2015年7月に、課題解決型のコンテンツは残しつつ、「自然あふれる別荘でピアノを楽しむ」「平日は都会にある自宅、週末は近郊にある別荘という、2つの住まいを行き来しながら暮らす」など、別荘があるライフスタイルをどう楽しむかという視点で制作したコンテンツを増やした。

 こうした方針でコンテンツを毎月10本程度ずつ増やした結果、今年3月末時点で掲載本数は100本を超えた。浅羽氏は「バラエティーに富んだコンテンツが増えた結果、リゾートに関する情報を幅広く提供できる体裁が整い、サイトの訪問者増につながっている」と見ている。

コンテンツは営業の声を集約して決定

 特に集客に効果を発揮しているのが、社内の営業担当者が聞いてきた顧客の声に基づくコンテンツだ。インバウンドマーケティングを推し進める経営企画部営業企画グループのメンバーが、東急リゾートの中で中古物件を扱う13営業所の営業担当者に、顧客ニーズについてヒアリング。その声を集めて複数の顧客のペルソナを設定し、それぞれについてカスタマージャーニーを検討して興味を持ちそうなコンテンツを考えている。

 例えば、別荘に興味はあるが、実際に購入すると別荘で何ができるのか、よく分かっていない段階にいるであろう消費者には、「別荘にオーディオを設置して窓を開放し、好きな音楽を聞く」「自分の好きなコーヒーを、豆を選んで煎るところから作って飲む」といったライフスタイルを提案する。また、具体的に購入を検討しているであろう消費者には、「購入費や維持費の目安」「別荘を購入する際の土地の権利形態」といった検討に役立つ情報を見せるという具合だ。

 この結果、当初の狙いであった、リゾートSTYLE経由で自社Webサイトを訪問した消費者が別荘の資料請求をするケースが増えている。同社では、自社Webサイトを訪問した人のうち資料請求に至った人の割合をCVR(成約率)としてKPI(重要業績評価指標)の1つに設定している。2015年8月から2016年1月末までの半年間で比べると、リゾートSTYLE経由のCVRは、同サイトを経ない場合の「約30倍」(浅羽氏)だという。

 今後もリゾートSTYLEの訪問者の数をさらに増やし、自社サイトへの誘導を増やす考えだ。そのため、「これからはより手間暇をかけて質の高いコンテンツを制作し、月8本を目安にアップしていく」(浅羽氏)。また2016年度中には、リゾートSTYLEの公式Facebookと公式Twitterを立ち上げる予定だ。リゾートSTYLEのコンテンツの一部を公式ソーシャルメディアに投稿し、興味を持った消費者をリゾートSTYLEへ流入させることを狙う。

 さらに動画コンテンツの導入や、消費者のアクセス履歴に応じて、最初に表示するコンテンツを出し分ける「レコメンド」機能の実装も検討。「リゾートSTYLEへの誘致を目的としたネイティブ広告の展開も検討する」(浅羽氏)という。

 現在は自社Webサイトを訪問したが資料請求せずに離脱した消費者には、リターゲティング広告を打っている。今後は、より幅広い層にアプローチするため、「リゾートSTYLEのコンテンツを活用したネイティブ広告を、ターゲットに適したメディアやサイトに出稿し、リゾートSTYLEと自社Webサイトへの集客につなげていく」(浅羽氏)という。

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