「宅急便お届けのお知らせ ■品名:お米 ■お届け予定日:4月27日(水)時間帯希望なし 配達日時や受取場所の変更は下記URLより」
ヤマト運輸は今年1月19日、LINE公式アカウントを開設し、配送予告のメッセージや荷物問い合わせなど各機能の提供を開始した。同社の会員サービス「クロネコメンバーズ」のIDを連携させたLINEユーザーには、公式アカウントのトーク画面上に冒頭のようなお届け予定メッセージやご不在連絡メッセージが配信される。このメッセージから、再配達日時や場所の変更ができるほか、荷物問い合わせ、集荷依頼、料金・お届け日の検索などがLINEからできる。
クロネコメンバーズはヤマト運輸が2007年11月に開始した会員制サービスで、名前・住所・メールアドレスを登録した会員に、再配達や集荷の依頼、配送予告や不在連絡などの機能を提供している。2010年2月に自宅以外での受け取り場所変更に対応し、2012年1月にはiPhoneアプリを提供。会員数は2015年で1300万人に上る。メンバーズの顧客データベースにLINEビジネスコネクトを組み合わせることで、LINEのトーク画面上でメンバーズ会員向けの主要サービスを実現している。
ヤマト運輸営業推進部係長の荒川菜津美氏は、LINEに対応した経緯を次のように語る。「ビジネスコネクトのサービスが始まってすぐ(LINEから)相談を受けたが、当初は他社サービスとのID連携に慎重な声があり、またLINEは若い層向けのサービスという印象も強かった。しかし荷物を受け取る顧客の利便性が高まることの理解が進み、またこの2年でさらに日常生活シーンでLINEが活用され、中高年層の利用も広がっていることから、導入を決めた」。
ID連携したLINE利用者数についてヤマト運輸は公表していないものの、サービス開始から3カ月を経て、「事前想定を上回るペースで増えている」(荒川氏)。当初、メンバーズ既存会員のLINE利用が多いと予想していたが、同社のLINE公式アカウント登録をきっかけにメンバーズの存在を知って、新規に会員登録、LINE連携する人が思いのほか多かったという。
LINE連携の最大の成果は、配送予告および不在通知のメッセージに対する反応率だ。メールで送った場合に比べて、LINE連携ユーザーの反応率は60%高い結果が出ている。メールの場合、ユーザーがメールを確認する頻度が一般的にLINEより低いため、配送予告や不在通知のメールが配信されても開封されず、不在宅に配送してしまうケースが起こりやすい。その点LINEならば、ユーザーの利用頻度が高く、慣習としてメールより即レスする傾向が強い。
不在連絡票をユーザー宅に投函するものの反応がないまま再配達を繰り返すことは、ヤマト運輸にとって配送効率の悪化を招く。そのため、配送予告や不在通知のメールで配送完了の確率を高めることがメンバーズの役割だった。LINEの普及によってメールの利用頻度が落ちつつある以上、メンバーズをLINEに対応させるのは、理にかなった流れと言えるだろう。