ネスレ日本は5月1日から、スマートフォン向け無料メール・通話アプリ「LINE」を活用したポイントキャンペーンを開始する。コーヒー商品の「ネスカフェ ゴールドブレンド コク深め」シリーズに張られたQRコードをLINEのQRコードリーダー機能で読み込むと、ネスカフェゴールドブレンドのLINEのアカウントと連動してポイントがたまる。このポイントを60ポイントためるごとに、プレゼントキャンペーンに応募できる。発売からまだ日が浅いコク深めシリーズの愛飲者の拡大を狙う。

今回のポイントキャンペーンの仕組み
今回のポイントキャンペーンの仕組み

 ネスレが商品の購入を条件としたキャンペーンを展開するのは、およそ3年ぶりのこととなる。実施を控えていた理由は、応募者情報の管理に手間がかかるからだ。例えば、商品のラベルを切り取ってハガキに貼り付けて応募するようなキャンペーンの場合、応募者情報を管理するには、ハガキに書かれた内容をネスレ側でデータ化する必要がある。そのため、ここ最近は、ネスレの会員サイト「ネスレアミューズ」の会員であれば誰でも応募できるタイプのキャンペーンが主流となっていた。

 誰でも応募できるキャンペーンは会員サイトで実施するため、応募者の情報は管理しやすい。ただし、その半面「製品に関心がない人でも応募できてしまう」(飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒービジネス部の島川基部長)。このため、ネスレ製品とのタッチポイントという面においての効果はやや弱かった。そこで、製品との直接のタッチポイントを作れる購入型キャンペーンを実施しながら、従来かかっていた手間を軽減するため、LINEを活用した応募の仕組みを新たに取り入れた。

キャンペーン後もLINEで関係構築

 具体的には、製品の購入者はまず、ネスレのLINEのアカウントに登録して、LINEのIDとネスレアミューズの会員IDを連携する。IDの連携は企業のシステムとLINEを接続する「LINEビジネスコネクト」で実現している。そしてIDを連携した上で、スマホのカメラ機能を使って、購入した製品に張られたQRコードを読み込むと、ポイントがたまる。製品の購入者は、LINE上で60ポイントをためるごとに、ネスレアミューズの会員情報を使って、プレゼントキャンペーンに応募できるわけだ。こうした仕組みにより、購入型キャンペーンの応募のプロセスをすべてデジタル化することで、従来かかっていた手間を省いた。

 本施策において、「LINEを活用している点が重要になる」と島川氏は言う。というのもネスレは以前、似たような応募方法を独自のスマートフォン向けアプリで実施したことがある。ところが「応募のためにわざわざアプリをダウンロードさせるのは難しかった」(島川氏)。この反省を生かし、応募のプラットフォームとして、消費者の生活に根付いたLINEの採用を決めた。ポイントプログラム及び応募の仕組みには販促支援のCDGが提供する、LINEを活用した販促支援サービス「SP コネクト」を導入している。

 LINEを活用する利点は応募のハードルを下げるだけではない。キャンペーン終了後には、情報配信にも活用できるからだ。キャンペーン参加者は応募履歴などを、ネスレの会員IDと連携する形でデータとして蓄積できる。このデータに基づき、ターゲットを絞って、次のキャンペーンの告知を配信するといったことも可能になる。こうして、キャンペーン参加者とも継続的なコミュニケーションを図ることで、優良顧客化へとつなげていく。

■修正履歴
記事掲載当初、島川基部長の所属部署を「レギュラーソリュブリュコーヒービジネス部」としていましたが、正しくは「レギュラーソリュブルコーヒービジネス部」でした。本文は修正済みです。[2017/4/12 13:55]
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