日本ケンタッキー・フライド・チキンは、新たなCRM(顧客関係管理)戦略を推進し始めた。顧客をピラミッド構造に再定義し、Web上の会員をピラミッドの頂点に近い最も重要な顧客の層と設定。続いて、ソーシャルメディアの登録者が重要顧客の予備軍層。そして、サイト訪問者をピラミッドの下部に近い最も接点が薄い層と捉えて、優良顧客層へと段階的に引き上げることを目指す。

 こうした戦略を推し進める上で、まずは会員組織の再構築から始めている。これまでバラバラに展開していたメールマガジンやスマートフォン向けアプリといった、顧客との接点を統合することで、会員基盤の強化を図る。 

ケンタッキーは3月23日に新たな会員組織を発足させた
ケンタッキーは3月23日に新たな会員組織を発足させた

 そこで、まず3月23日に従来のメールマガジン「カーネル通信」と、共通ポイント「Ponta」のIDで登録できる会員組織「カーネルPontaクラブ」の会員を統合。新たな会員組織として「カーネルクラブ」を立ち上げた。カーネルクラブでは、マイページでクーポンを取得したり、誕生日などの記念日を登録しておくとお祝いのメールが届いたりする。また、PontaのIDを登録しておくことで、ポイントの倍付けキャンペーンなどの特典が得られる。

夏までにアプリも会員基盤を統合

 これまで、ケンタッキーにとってのCRM戦略は、導入している共通ポイント「Ponta」のIDで登録できる会員組織「カーネルPontaクラブ」の運用、及びデータの分析が主な取り組みだった。ところが、Pontaの提示者であれば、会員属性に購買履歴をひも付けて分析できるなど詳細なデータ分析が可能な一方、「Pontaを提示する人は来店者の半分以下。全顧客において非常にパイが小さい」(マーケティング部DIGITAL・CRM推進担当の塩谷旬マネージャー)のが課題だった。

 一方で、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)などのツールが登場したことにより、Pontaのような会員IDを登録していない顧客であっても、それ以外の接点でデータを取得して、コミュニケーションに生かすといった考え方が広がっている。

 例えば、サイトの利用データやメールマガジンに記載されているコンテンツへの反応を収集したり、スマートフォン向けアプリであれば、どの地域で利用しているのかといったデータを取得したりすることも可能だ。これらが発端となって、ケンタッキーはCRM戦略を見直した。顧客として捉える対象者をPontaのID登録者以外にも幅を広げて、最適なコミュニケーションをすべきと考えた。

 この戦略に基づき、今夏までにスマートフォン向けアプリの利用者もカーネルクラブのIDで利用可能にする計画だ。アプリは、ケンタッキーにとって顧客と接点を持つチャネルの1つとして、急速に存在感が高まっている。1月に初めてテレビCMの中でアプリからクーポンを取得できることを告知してダウンロードを促したところ、「過去最高のダウンロード件数を記録」(塩谷氏)した。現時点で320万件以上ダウンロードされている。

 複数チャネルを新たな会員基盤で串刺しにすることで、デジタル上の行動データの統合を目指す。さらに、Pontaの登録者であれば、これに購買履歴をひも付けて分析可能になる。会員基盤の統合後は、こうしたデータに基づいて、顧客ごとに最適な情報発信を目指す。