2月20日、富士フイルムのドイツ法人が運営するフォトブック(写真アルバム)のEC(電子商取引)サイトが、リニューアルオープンした。今後数カ月のうちにスウェーデンとフランスのフォトブック用ECサイトもリニューアルし、その後はスペインと英国も続く予定だ。

リニューアルオープンしたドイツのフォトブック用ECサイト。他の欧州法人のサイトも同様のUIになる
リニューアルオープンしたドイツのフォトブック用ECサイト。他の欧州法人のサイトも同様のUIになる

 これまで欧州各法人のフォトブック用ECサイトはバラバラに運営され、サイトのUI(ユーザーインターフェース)やサービスの名称などが異なっていた。各法人は新規顧客の開拓には熱心だったが、リピート率を引き上げたり、顧客にサイト内のクロスセルを働きかけたりすることも、ほとんどしていなかった。

 これを改め、UIやサービス名称などを統一し、LTV(顧客生涯価値)向上を目指す体制へ、1年がかりで切り替えた。サーバーは各国法人が運営するが、サイトの見た目はほぼ共通になる。

日本の実績で欧州を説得

 欧州各法人にフォトブック用ECサイトの“統合”を納得させた裏には、日本でのフォトブック用サイトの実績があった。富士フイルムは2年前にフォトブック用サイトに、UNCOVER TRUTH(東京都渋谷区)が提供するヒートマップ分析ツール「USERDIVE」を導入。アクセス解析と併せてサイト訪問者の行動を詳細に分析し、改善してきた。

 その代表例が、ベネッセコーポレーション(岡山市)と取り組むフォトブックサービスに関わるLP(ランディングページ)だ。もともと富士フイルムは、ベネッセが0~6歳児に送る教材に6年前からクーポンを同梱し、最も安価なCDサイズのフォトブックをサイトから注文してもらい、無料で送っていた。「2000年には、子育て世帯ならほぼ100%がアルバムを作っていた。最近は約50%しかアルバムを作らないため、まずはアルバムを作ってもらう取り組みとして始めた」(富士フイルムe戦略推進室マネージャーの一色昭典氏)。

 これだけではビジネスとして成立しないため、フォトブック注文ページから特設LPにベネッセユーザーを誘導し、より高精細なフォトブックの購入を勧めていた。「LP訪問者の10~20%が購入してくれた」(一色氏)という。2年前にこのLPにヒートマップ分析ツールを導入し、コンテンツの配置や色を変更した結果、高価なフォトブック購入のCVR(コンバージョン率)が、(分析ツール導入前と導入後3カ月時点とを比較すると)25%向上した。「年換算で数億円の価値がある」(一色氏)という。

 そこで富士フイルムは、この取り組みをグローバルに横展開することにしたのだ。

 欧州各法人のフォトブック用ECサイトを分析し、各国のよいところを残し、悪いところを改める形で統合を進めた。ドイツのサイトは商品の見せ方がうまく、詳細ページへの遷移率が高い一方で、商品の並べ方とそれぞれのクリック率にギャップがあり、サイトの商品構成に問題があった。欧州で売り上げが最大のスウェーデンは、サイトの導線が分かりやすく、トップページから商品ページに移行する割合が高かった。こうした特徴をサイト改修に生かした。

 今後は、化粧品ECサイトなどの見直しも進める。米マルケトのMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入し、「新規顧客の開拓だけではなく、富士フイルム製品のファンを増やすようなリテンション重視のマーケティングを強化していく」(一色氏)考えだ。