ありとあらゆるモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)の世界が、徐々に現実味を帯びつつある。トヨタ自動車もこのIoTをクルマで実現する一社。インターネットの技術を活用することで、より便利により快適にクルマを利用できるサービスの開発を目指している。

 2月15日にフルモデルチェンジした新型「プリウスPHV」は、オーナー専用のスマートフォン向けアプリ「Pocket PHV」と併せて使うことで、より便利に利用できる。アプリ提供の狙いは「クルマの利用者の不安をなるべくなくすこと」(トヨタ自動車コネクティッドカンパニーe-TOYOTA部テレマティクス事業室)だ。

アプリ「Pocket PHV」で充電状況などを確認
アプリ「Pocket PHV」で充電状況などを確認

 例えば、アプリには近隣の充電ステーションを地図上から探す機能がある。新型プリウスはEV走行距離が68.2kmと従来モデルより約2.6倍に延びた。自宅で充電できる機能も持ち、従来型に比べれば出先で電池切れを起こす心配は大幅に減少した。それでもまだ、「充電ステーションの検索というニーズは強い」(トヨタ)ことから、検索機能をアプリに搭載した。このように不安を取り除き、快適にクルマを利用してもらうことを目指して開発している。

 より便利にという点では、アプリから車内のエアコンをリモートコントロールできる機能が挙げられる。自宅にいながらアプリ上で車内温度を設定し、出かける前にエアコンをつけ、快適な気温にコントロールしてから乗車できる。従来は冷房のみに対応していたが、新型プリウスでは暖房もつけられるようになった。

充電が減ったらメールでお知らせ

 車載通信機「DCM(データ・コミュニケーション・モジュール)」で取得しているデータもアプリ上に表示する。現在の充電量やそこから算出したEV走行可能距離などが確認できるほか、新型プリウスから搭載された「ソーラー充電システム」で充電された履歴なども確認できる。

 また、新型プリウスには充電した電気を、外部給電できる機能が搭載されている。おかげでアウトドアでも家電製品などが利用できる。だが、「管理せずに給電し続けると、クルマの電池が切れて鉄の塊になってしまう恐れがある」(トヨタ)。そこで、給電プラグからもデータを取得し、給電中はそのデータもアプリで確認ができる。それでも、うっかり給電していることを忘れて電池切れを起こすことがないように、残量が少なくなった場合にはメールでアラートを飛ばすサービスも提供している。 

 データの活用では、所有者のサポートサービスも強化している。DCMで取得したデータは販売店とサポートセンターでも確認ができる。従来はオーナーから問い合わせがあった場合のみ、データに基づき対応していたが、トヨタ側からもオーナーに積極的に連絡するようにした。

 こうしたデータやネットの活用を推進するのが、昨年4月に設立された「コネクティッドカンパニー」だ。同カンパニーはDCMなどを通じて収集したデータを活用し、クルマの新しい魅力や価値を創造する役割を担う。スマホが普及し、通信インフラも整ったことを契機に、より利便性を高めるため、アプリの機能開発のアクセルを踏む方針だ。