記者が取材先に到着して受付の電話機または受付担当者を介して所属部門に電話すると、取材相手は別の電話に出たり、トイレに行ったりして不在。電話に出た方に到着を告げるも、稀に行き違いから部署内でその情報が共有されず、予定時刻を過ぎても互いに「まだいらっしゃらない」と待っている──。「オフィスあるある」シーンの一コマである。

 そんなちょっとした不都合や手間をデジタルで解消する受付システムの導入が相次いでいる。スマートフォン向けゲーム・メディア事業を展開するサイバードは昨年5月、ACALL(兵庫県芦屋市)が提供する来客対応システム「ACALL(アコール)」を導入した。

ACALLは、提供開始1年半で、トレンドマイクロや近畿大学など導入企業が530社に上る。会議の議事録の共有にまで機能を拡張し、打ち合わせの業務効率アップを目指す
ACALLは、提供開始1年半で、トレンドマイクロや近畿大学など導入企業が530社に上る。会議の議事録の共有にまで機能を拡張し、打ち合わせの業務効率アップを目指す

 ACALLはiPadベースで、業務上の来客は、「担当者を選択」「採用面接の方」「郵便・宅配の方」の3つから「担当者を選択」を押して社名・名前を入力。面会相手の名前を50音から絞り込んで選ぶと、到着の情報が面会相手のパソコン・スマートフォンに直接届く。導入前は、受付が2人常駐し、受付、呼び出し、会議室の案内、お茶出しまで担当していた。

 同社コーポレート統括本部業務統括部総務部部長の根本朋子氏は、「システム導入の理由は大きく2つ。職場のフリーアドレス化が進んでいること、そして時間外の来客にスムーズに対応できるようにしたかった」と説明する。

訪問者の到着を本人に直接通知

 同社では従業員に固定の席と電話機が用意されているが、社内打ち合わせで、席を外している時間が長い人も少なくない。来客到着の連絡ミスがゼロでも、来客のたびに誰かの手が止まるのは効率が悪い。業務連絡の多くはビジネスコミュニケーションツール「チャットワーク」で行われていて、固定電話の利用頻度は落ちている。こうした職場環境の変化から、訪問者の到着情報は担当者本人のチャットワークに通知され、パソコンまたはスマートフォンで確認できる方が効率的だと判断した。

 もちろん有人対応ならではの良さはある。ただその分、時間外に初めて訪れた客は、シャッター脇の外壁に1台設置された電話を前に迷う可能性があった。現在、時間外はiPadに盗難防止のセキュリティガードを付けたうえで、設置場所をシャッター脇に移している。時間外でも、日中と同様の応対が可能になった。

 また人事部では、面接者の到着情報が採用担当者全員に届くように設定しているほか、到着の承認が押されない場合は1分おきにリマインド通知を送り、それでも応対がない場合は総務に通知することで、来客が待ちぼうけになることを防ぐ、といったカスタマイズもできる。

 ACALLでは、アポイント確定時にQRコードを発行して相手に送り、入力不要で応対することも可能。一部グループウェアのスケジューラーや会議室予約と連携して、来客応対・入退室管理の手間を軽減できる。

 取引先・関係先のおもてなしは対外的なマーケティング以前の重要事項だが、意外と見落とされてきた。「○回目の訪問、ありがとうございます」など、有人受付を超えるシステムならではのおもてなしが今後注目されそうだ。