東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月1日から、スマートフォン向けアプリ「JR東日本アプリ」を活用した、O2O(オンラインtoオフライン)の実証実験を始めた。アプリ上にクーポンを配信して、駅構内にある店舗に送客する。これまでもメールマガジンなどでクーポンを配信して送客をしていたが、来店客の客層までは分析できていなかった。アプリの登録データと、クーポンの利用データをひも付けて分析することで、マーケティングデータを取得するのが目的だ。キャンペーン期間は3月21日まで。

アプリ上に示された店舗で使えるクーポン
アプリ上に示された店舗で使えるクーポン

 本施策の旗振り役となるのが、エキナカ事業グループだ。JR東日本グループには、駅構内で飲食店やコンビニエンスストアなどを展開するグループ会社が複数ある。これらの企業、約10社を管轄するのが同グループだ。従来は各社単体でメール会員を募り、クーポンを配信するといった施策に取り組んではいたものの、「配信するための母数が少なく、集客につながりにくかった」(事業創造本部事業推進部門エキナカ事業グループの平間大貴氏)。

 目をつけたのがJR東日本アプリだ。電車の運行情報や車両内の混雑状況などが分かるスマートフォン向けアプリである。160万人が利用する。これまでは、電車を利用する上での利便性を高めるためのアプリとして提供し、その利便性が評価されて利用者数を伸ばしてきた。

 その規模が150万ダウンロードを超えたのを契機に、これを1つのプラットフォームとして、そこから駅構内にあるさまざまな施設に誘導し、活性化につなげられるのではないかと考えた。また、これまで取得できていなかった来店客層のデータを取得するのにも、十分足る利用者数だと判断した。

まずクーポン利用率1%を目指す

 とはいえ、最初から大規模な実証実験は、店舗オペレーション上の問題もあり、実施しづらい。そこで、今回は駅構内を中心に展開する蕎麦店「いろり庵きらく」16店舗と、カフェ「BECK'S COFFEE SHOP」36店舗の合計52店舗で実施している。アプリに対して、キャンペーン期間中に3回クーポンを配信する。例えば、蕎麦店であればトッピングが無料になる、カフェであれば好きな飲み物が50円引きになるといったクーポンを配信する。

 クーポンの利用時には、スマートフォンの画面にクーポンを表示した状態で、店舗に設置してあるスタンプ型の機器を画面に圧着することで、通信が発生して利用済みへと変わる。この時、アプリ上の会員データを併せて取得する。アプリではダウンロード時に性別、年代、職業といった情報を利用者から取得しており、そうしたデータとクーポンの利用データをひも付けることで、店舗ごとの来店客層を分析できるという。

 こうして取得したデータは、各店舗の運営会社と共有することで、今後、どういった情報やクーポンを提供すべきかなどを検討する際、参考材料にしてもらう。初めての施策のため、まずは配信数に対してクーポン利用率1%を目標に定める。その結果を基に、売り上げなどの具体的な目標を据えた施策へと発展させていきたい考えだ。