ユニリーバ・ジャパンのマーケティング子会社ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングは、2月11日と12日の2日間、「ダヴうるおいお届け便キャンペーン」と題したWebキャンペーンを東京23区内限定で実施した。その際、当選者への賞品であるボディソープなどを通常の郵送ではなく、「約60分で自宅まで届ける」という手法で発送した。応募者は2日間で「予想をはるかに上回る4487人」(同社マーケティング-ホーム&パーソナルケア ダヴ スキンクレンジングのブランドアシスタントである桑田将氏)となり、大きな反響を呼んだ。

ダヴのロゴ入り自転車で賞品の「ダヴうるおいセット」を当選者の自宅に届けた
ダヴのロゴ入り自転車で賞品の「ダヴうるおいセット」を当選者の自宅に届けた

 キャンペーンの仕組みはこんな具合だ。参加を希望する消費者は「ダヴうるおいお届け便」のキャンペーンサイトからTwitterにログインし、郵便番号と性別、年齢を入力後、「#ボディソープきれた」とツイートして応募。するとサイトにすぐ当落が表示される。当選者が10分以内に氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどをサイトで入力すると、キャンペーンスタッフから電話で連絡がくる。これに対応できれば当選の確認となり、そこから60分以内に、ダヴブランドのボディソープやシルク製パジャマなどが入った「ダヴうるおいセット」が自転車便によって届く。当選者は当初予定していた40人を上回る59人で、落選した応募者には、期間限定でAmazon.co.jpでの買い物が20%割引となるクーポンを贈った。

ターゲットに驚きを与える

 今回のキャンペーンの狙いは2つある。まずダヴブランドのボディソープを主に利用している30~40代女性を中心に、新規のユーザーを獲得すること。同時に、「ユニリーバとして力を入れ始めたデジタルマーケティングを展開し、知見をためること」(桑田氏)である。

 ユニリーバの独自調査では、30~40代女性はボディソープを選ぶ際、それほどブランドにこだわっていない。またダヴのブランドイメージは安定、保守的といったもので、最先端や斬新というイメージは想起されにくい。ブランドにあまりこだわりのない層を振り向かせ、ダヴブランドのリピーター候補になってもらうには、「インパクトがあり、かつダヴはこんなサービスもしてくれると驚きを持って受け止めてもらえるマーケティング施策を打つ必要があった」(桑田氏)。

 そうして出てきたのが、Twitterで応募を受け付けるというデジタルマーケティング施策を展開しながら、60分以内に賞品を配送するというアイデアだった。ただ、本当に実現できるかどうかが課題だった。

 そこで昨年末から、エリアを東京23区内に限定し、賞品を配送するキャンペーン専用の組織をゼロから立ち上げ、どの程度の拠点にどの程度の人数を配置すれば実際に60分以内で配送が可能か、シミュレーションを繰り返した。当初はバイク便を想定していたが、ユニリーバの「環境重視」の方針から、排気ガスを出さない自転車便に途中で変更したため、拠点の数を増やす必要に迫られた。こうした入念なシミュレーションはアサツーディ・ケイが担当。実現が可能となったため、今回のキャンペーンに踏み切った。

 その結果、2日間で4487人の応募という予想以上の反響を得られた。また「60分以内でボディソープが届くなんてスゴイ^_^」「本当に届いた♪しかも豪華!!シルクのパジャマうれしい♪」など、当選者がつぶやいたツイートが「ダブブランドのイメージ向上に貢献した」と桑田氏は語る。ダヴブランドのボディソープの売り上げが実際に増えたかは確認できていないが、「シェア向上の手応えは確実に得られた」と桑田氏。実際、今回の成功を受け、今年4月には福岡、6月には大阪で、同様のWebキャンペーンの実施を決めた。今後もターゲットに驚きを与えるデジタルマーケティング施策を展開していく考えだ。

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