ネットメディア企業のリブセンスが、昨年9月、主力事業であるアルバイト情報サイト「ジョブセンス」を「マッハバイト」にリブランディング。YouTubeとTwitter上に動画広告などを配信するマーケティングを展開し、その認知度アップと、訴求ポイントを想定ユーザーに刷り込むことに成功した。

Twitterに配信した6秒動画「マッハラーメン」
Twitterに配信した6秒動画「マッハラーメン」

 リブセンスは、サイトのスタートから10年が経った2016年から、ジョブセンスの抜本見直しを計画。アルバイトを探すユーザーを対象にニーズのリサーチを重ねた。すると、「すぐに(バイト先が)決まる」「すぐに(給料を)支払ってもらえる」が重要だと分かった。そこで、「探すをなくす」を社内コンセプトにサイトの刷新を検討。2017年半ばに、サイト名を「マッハバイト」に、それまでの「採用祝い金」を「マッハボーナス」にリブランディング。動画を使って、まずは認知度のアップと、想定ユーザー層に「マッハバイトはすぐバイトが決まるし、支払いも速そうで、面白そうだ」というイメージを持ってもらうマーケティングを展開することに決めた。

 訴求を図る主なメディアとしてYouTubeとTwitterを選択。公式アカウントに動画コンテンツを配信したほか、クラスター分析を実施して、10~20代の若者層を中心に、マッハブランドの想定ユーザーに近い層にターゲティングする形で動画広告も配信した。

 まず2016年10月、ラーメン店の自販機で食券を買おうとすると受け取り口にラーメンが出てくる「マッハラーメン」、退勤するビジネスパーソンが窓ガラスを破って外に飛び出す「マッハ退勤」など、内容が面白く、かつマッハバイトが訴求したい「すぐに決まる」を想起させるような6秒間の動画を20種類以上作成し、YouTubeとTwitter上に配信した。

 続けて約1週間後から、「ハイパーリアルマッハバイト」(第一弾)と題して、「サバのような雲の写真を送る」「マッサージ台の下で客の話し相手になる」など、数秒から最長10分で終わり、バイト代自体は少額なものの、原則採用翌日に最大1万円のマッハボーナスが振り込まれるという超短期アルバイトを多数用意した応募キャンペーンをTwitter上で展開。すぐにアルバイトが決まって、マッハボーナスによってすぐに支払いも得られるというポイントを分かりやすく訴えた。

 リブセンス共同創業者で、今回のリブランディングを指揮した桂大介氏は、「Twitterでは動画を複数まとめてシェアしたツイートが多くリツイートされ、ブランド名検索では思ったより上位に『マッハバイト』が来た。YouTube上でも『マッハバイト、面白い』といった好意的なコメントばかりが並んだ。認知度アップとマッハバイトの訴求ポイントが伝わったという意味では、よいスタートが切れた」と胸を張る。

仕事がなくなる可能性を示す

 リブセンスは間髪入れず、12月に「ハイパーリアルマッハバイト第二弾」として、UUUMに所属するYouTuberが超短期のハイパーリアルマッハバイトをする様を撮った動画をTwitter広告として配信。2018年1月には、AI(人工知能)研究で著名な落合陽一氏と提携し、ユーザーが入力した仕事が将来、AIによって奪われる可能性を「%」で示す診断コンテンツを作成して、「シンギュラリティ駆逐診断」と題して自社サイト上で公開し、Twitterに広告配信した。

 YouTuberが登場する動画は、「あのマッハバイトがまた何かやっている」というようなコメントとともに広く拡散。シンギュラリティ駆逐診断も、展開直後にタイトルがそのままTwitterトレンドの上位に入るほど話題になった。異なる種類の“面白い”動画コンテンツを用意し、数カ月という短期間の間に、入れ替わり立ち代わり、主に動画広告として配信。認知度アップと訴求ポイントの浸透を図るリブセンスの作戦は、同社が想定していた以上にうまくいったようだ。

 今後は「マッハバイトの認知度向上や訴求ポイントの伝達だけでなく、実際にマッハバイトのサイトに来訪する応募者を増やす施策を展開し、売り上げ増に貢献していく」(桂氏)考えだ。

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