半年に1回、消費者3万人を対象に、持ち物や嗜好、価値観など、さまざまな項目を調べているブランドデータバンク(bdb)調査。今回は35~39歳で個人年収が300万〜500万円の男性が好むブランドについて分析してみよう。

 2017年6月のブランドデータバンク調査では、30代後半男性の個人年収は平均で398万円。10年前、2007年6月調査における30代後半男性は517万円。100万円以上、下がっている。平均世帯年収で見ても2017年は561万円、2007年は637万円で、こちらも減っている。

 そうした状況の中、今回は、30代後半の男性のうち、お金の面で平均的と言える人々、つまり個人年収300万〜500万円の層を対象に、好むブランドを分析してみる。2017年6月の調査では30代後半男性2196人のうち、958人が該当する。

 彼らの情報接触の態度をざっくり言うと、テレビ情報は信じない。スマートフォンの動画広告はよく接触し、信頼もしているとなる。

 さらにライフスタイルに関する設問に対する答えを見ていくと、価格の高いものは信用できる、売れているものは間違いない、と考える。そして欲しいものはそれほどないため、お金は貯蓄するより投資する。どちらかと言えば出世はしたいが、飛び抜けてよい暮らしがしたいとも、人よりも輝きたいとは思っていない――となる。平均的な暮らしができれば十分だ、とでもいうような回答が印象的である。

男性タレントには興味がない?

 好きな有名人からも、そうした傾向がうかがえる。男性有名人では1位が「ダウンタウン」(3.1%)、2位が「松本人志」(2.6%)、そして3位が「タモリ」(2.5%)となった。

 いずれも文句のつけようがない人気タレントだが、言うまでもなく松本人志さんはダウンタウンの一人。支持率も一桁台で、支持するタレントが分散していることが伺えるが、逆に言えば、この層の人たちは、さほどタレント自体に興味がないのではないか。無難な選択をしたのではないか、という印象も受ける。

 では、各人の“趣味性”が現れそうな服や靴、スポーツウエアなどのジャンルはどうだろう。

 服では1位が「ユニクロ」(23.4%)、2位が「ビームス」(6.1%)、3位が「ジーユー」(5.6%)。靴は1位が「ナイキ」(22.2%)、2位が「アディダス」(17.3%)、3位が「ニューバランス」(9.1%)。スポーツウエアは1位「アディダス」(37.9%)、2位「ナイキ」(24.3%)、そして3位が「アシックス」(6.3%)という結果になった。実にバランスのよい、言い換えるとあまり意外性のない結果になっている。

 とはいえ、より強く「自分らしさ」や「個性」がほのみえる結果もある。その1つが腕時計。1位は「カシオ」(16.2%)、2位は「セイコー」(13.4%)と定番ブランドだが、3位に「オメガ」(8.8%)が入った。表にはないが、さらに「ハミルトン」「ニクソン」「ポール・スミス」「アニエスベー」などのブランドもランクインしている。

 またバッグでは1位「ポーター」(10%)、2位「コーチ」(3.2%)に続いて3位は「オロビアンコ」(2.1%)という、1996年にイタリア・ミラノで生まれた比較的新しいブランドが入ったことが目を引く。

 元々、時計、バッグはその人らしさ、個性が出やすいジャンル。この層の人たちにとっても、こだわりたい分野の1つなのだろう。

この記事をいいね!する