宅配DVDレンタルは縮小

 共同購入型クーポンほどのバブル崩壊ではないにせよ、ネットサービスの中には縮小の過程にあるサービスも少なくない。宅配DVDレンタルサービスはその一つだ。

サービス終了した主な宅配DVDレンタル、ネットオークション、フリマ
サービス終了した主な宅配DVDレンタル、ネットオークション、フリマ
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 観たい作品をネットでレンタル予約すると自宅に配送され、鑑賞後は返却用封筒に入れて投函する。現存するサービスは、TSUTAYAの「TSUTAYA DISCAS」、ゲオグループが運営する「ゲオ宅配レンタル」と「ぽすれん」、DMM.comの「DVD・CD宅配レンタル」の4つ。「ぽすれん」の入口だったヤフーと楽天は2014~2016年に撤退した。

 動画コンテンツの視聴スタイルは様変わりしている。リアル店舗でのレンタルから宅配レンタル、そして「Amazonプライム・ビデオ」や「Hulu」「Netflix」といった定額制で見放題の動画配信サービスの充実で、オンデマンド視聴が一般的になった。CMを放映して無料で配信する「AbemaTV」のようなインターネットテレビ局も存在感を増している。「ないビデオはない」を掲げて1994年に開業したTSUTAYAの旗艦店「恵比寿ガーデンプレイス店」は2月いっぱいで閉店する。こうした新旧交代劇が今後も続くだろう。

 ネットオークションからフリマアプリへ──。この流れはさらに加速しそうだ。オークションで圧倒的なシェアを持つ「ヤフオク!」は今なお取扱高を伸ばしているとはいえ、その伸びは鈍化している。一方の「メルカリ」をはじめとするフリマアプリ群の成長は著しい。楽天では2016年2月時点で、フリマアプリ「ラクマ」の流通総額が楽天オークションを上回り、その差が拡大していた。楽天オークションはヤフオク!に次ぐ国内2位ではあるが、この推移からオークションを終了し、ラクマへの移行を決断。Fablicが運営する「フリル」を子会社化し、2月26日にラクマとフリルのサービスを統合する。ラクマの名称を残してFablicが運営し、メルカリを追撃する。

 勢いづくフリマアプリだが、現状はメルカリ一強なだけに生き残りが容易な市場ではない。LINE が「LINE MALL」、スタートトゥデイが「ZOZOフリマ」で参入したが、早々に見切りをつけている。

動画投稿共有サービスは明暗

終了した主な動画系サービス、メタバース、3D・擬人化コミュニケーションサービス
終了した主な動画系サービス、メタバース、3D・擬人化コミュニケーションサービス
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 動画投稿共有サービスはYouTubeの普及期に類似サービスが乱立したが、長続きはしなかった。生き残っているのは、「ニコニコ動画」やアメーバ「FRESH!」のようにコンテンツ編成力を持つ配信サービスだ。ただしニコニコ動画は2016年のピーク時に256万人いた有料会員が、2017年12月は214万人に減少している。

 1月の最終週、品川シーサイド駅のイオン横で、「さよならmeet-me感謝祭」が開かれた。といってもリアルの場ではなく、仮想空間「meetme」内の会合だ。

 meet-meは東京を舞台にした仮想空間(メタバース)サービス。SecondLifeが期待外れになりかけていた2008年4月にサービスを開始し、以来1 0年にわたってサービスを提供してきた。開始当初はトヨタ自動車がmeet-me内に東京湾に浮かぶ仮想都市「TOYOTA METAPOLIS」を設置するなど企業の参画があったが、その後、出展が相次ぐ展開には至らなかった。仮想空間サービスはなかなか成功例が出ないジャンルだ。

 それでも、VR(仮想現実)映像を視聴してもらう体験型コンテンツはこれからが本番だ。1月10日~2月6日、セブン&アイ・ホールディングスが自社EC(電子商取引)サイト「オムニ7」内に特設サイト「VALENTINE PARADISE VR」をオープンし、VRコマースを導入した。西武渋谷店で撮影した店内映像をベースに、チョコレート売り場を再現したもの。バレンタイン商品約700種類を販売し、臨場感のある買い物体験を提供した。

 マンション販売でも、現在は空き地のマンション建設現場で、HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を装着して完成イメージを体感できるコンテンツを野村不動産が用意するなど、活用が進みつつある。