共通ポイントサービス大手のネットマイルを傘下に持つINMホールディングス(INMHD、東京都千代田区)が、独自の仮想通貨(電子トークン)「ビットマイル」を発行。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて取引記録などを管理し、マーケティングにも活用できる「新たな経済圏の構築」(INMHDの畑野仁一会長)を目指す。

ビットマイルが考えるサービスの概要
ビットマイルが考えるサービスの概要

 今年2月中に、INMHDの傘下に新会社ビットマイルを設立。ネットマイルの既存ユーザー約290万人に対して、10月をめどにネットマイルのポイント保有高に応じてビットマイルを無料で付与する。並行して、ブロックチェーン技術を用いてビットマイルの取引ができるプラットフォームをネット上に整備し、ユーザーがビットマイルを使える「場」を設ける。例えば、企業が電子コミックなどのコンテンツをプラットフォーム上に出品し、ユーザーがそれをビットマイルで購入するといったケースが考えられる。

 同じく10月をめどに、国内外の複数の仮想通貨取引所にビットマイルを上場する計画だ。ビットマイルそのものに金銭的価値はないが、「ビットマイルの流動性が確保されたうえで上場が実現すれば、その価値が認められ、価格が付くようになる」(畑野氏)という。

商品サンプリングなどにも活用

 INMHDは、ビットマイルのプラットフォームをマーケティングに活用することにも力を入れる。

 例えば、企業が商品サンプリングや市場調査への協力、広告の閲覧といった事柄を、プラットフォーム上で消費者に求め、それに応じた消費者に対して、企業が購入などの手段で別途、入手したビットマイルを付与する。あるいは、個人がさまざまな条件付きで自分の個人情報を企業などに開示する代わりに、ビットマイルを受け取る、といった活用の方法が考えられる。

 企業にとっては、ビットマイルのユーザーが増えれば増えるほど、「これまでとは異なる切り口の新しいユーザー層にリーチできる可能性が高まる」(畑野氏)というわけだ。

 さらに、ビットマイルのマーケティング利用には、発行会社の権限が強い通常のポイントサービスとは異なる特徴がある。それは「個人でも参加できる」(畑野氏)という点だ。ビットマイルのプラットフォームを用いれば、個人でも「◯◯をしてくれたら、ビットマイルを××だけ付与する」という形で、消費者に対して広くオファーを出すことができる。

 こうした利用が増えれば、ビットマイルの流動性がさらに高まり、ユーザー数を増やす効果があるとみている。INMHDでは今年10月のサービス開始から、「3年でユーザー数600万人を目指す」(坂井光社長)という。

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