オーストラリアに本社と開発拠点を置くデジタル広告会社ROKTが、今年中に日本法人を設立し、日本市場に本格的に進出する。提供する広告サービスは、「購買直後の消費者に働きかけると広告効果が高まる」(ROKTの山中理恵・日本担当ゼネラル・マネージャー)という考えに基づき、「トランザクションマーケティング」と称している。
この考えに基づき、各国で展開している主力サービスはこんな具合だ。まずEC(電子商取引)サイトなど消費者が商品やサービスを購買するサイトをメディア(媒体)と位置付けて契約。商品やサービスの販売というパフォーマンス(成果)を求める 広告主とも契約する。
そのうえで、消費者がECサイトなどで購買を終えた直後に、当該サイトの中で、「Thank you message」の形で消費者が興味・関心を持つような情報を広告として提示する。そして、それらの情報に興味があれば、既にECサイトに登録済みの消費者のメールアドレスなどの利用に、同意してほしい旨を示す。
ROKTはそうして消費者から“許可”を得た後、広告主に当該消費者のメールアドレスなどを伝える。後は広告主がその連絡先を使って消費者に直接アプローチするわけだ。

例えば、チケット販売サイトで有名アーティストのコンサートのチケットを購入した消費者に対して、そのコンサート会場のある都市に発着する航空会社の飛行機便の割引やコンサート会場近くのホテルの割引といった情報を広告として提示する。
こうした情報の提示を受け、メルアド利用に同意した消費者に広告主がメールで働きかけた場合、「成約する確率は通常のネット広告と比べて数倍高い」と山中氏は言う。
しかも、広告を掲載するサイトから見ても、ROKTのサービスは受け入れやすい。消費者が当該サイトで商品を購入した後に広告を表示し、やり取りするため、購入を検討している消費者が広告を見て途中で離脱することがないからだ。
通常広告も独自のアルゴリズムで
通常のネット広告をメディア側のサイトに出すこともしている。その場合、独自のアルゴリズムで効果的な広告を出すようにしている。例えば、米国のドミノピザのサイトにネット広告を出す場合、週3~4回ピザを注文するようなユーザーに対しては、育ち盛りの子どもを複数抱えている可能性が高いと判断し、手持ちの自動車の広告の中から、高級車の広告ではなく、比較的安価で大人数が乗れるクルマを販売している現代自動車などの広告を出すという。
こうした広告サービスを武器に、日本法人設立と並行して、メディアと位置付けるECサイトや出稿する広告主の開拓を順次進めていく考えだ。