カジュアルゲームを中心とするスマートフォン向けアプリへの広告配信プラットフォームを運営し、急成長中の米Applovinが、異色の手法で日本市場の開拓を本格化する。
広告の主な配信先となるカジュアルゲームアプリを開発する日本のディベロッパー(開発会社)に2018年春から、資金の融資を含むサポートプログラムを本格的にスタートさせる。

日本のカジュアルゲームのディベロッパーの中には、数人しかいない社員がゲーム開発に専念し、「ゲームのプロモーションやマネタイズまで手が回っていないという会社が少なくない」(Applovin日本法人の林宣多カントリー・マネージャー)。そのため、ゲームの質が高くても、英語版への対応などができずにグローバル市場では認知されず、日本市場でも豊富な広告宣伝費を投入する大手ディベロッパーの後塵を拝しがちだ。
Applovinはこうしたディベロッパーに、ゲームの開発やプロモーションに必要な資金の融資や効果的なプロモーション計画の策定、グローバル市場を見据えた英語版化やマネタイズのノウハウなどを提供していく。そうした支援によって、今のところ日本国内で約10万というApplovinが広告を配信できるアプリを、確実に増やしていく考えだ。
「ディベロッパーの成長を加速できれば、アプリのユーザーが増え、広告を出稿したい広告主や私たちにとって、大きなプラスになる。既に北米では取り組みを始めて成果が出始めている」と林氏は説明する。
インストール後の動きを追える
Applovinの広告配信サービスは、アプリ内広告を視聴したユーザーに自社アプリのインストールを促したい広告主が主に利用する。インストールされても利用されなければ広告効果は薄い。Applovinの広告配信サービスの強みは、インストールされた後のアプリがユーザーによって継続的に利用されているか、ユーザーに課金できているかなどを、トラッキングできるところにある。
通常のネット広告のRTB(リアルタイム入札)は広告主が提示する価格と媒体が提示する価格を基準にしてマッチングを図るが、Applovinはアプリがインストールされた後の活用のされかたを過去のデータから予測するアルゴリズムを組み込み、マッチングする。
「広告主はCPI(コスト・パー・インストール)を低く抑えながら、アプリをより利用してくれるユーザーを獲得できる」と林氏は語る。実際、この効果が認められて、設定したキャンペーン期間にアプリのインストールを促したい広告主を中心に、日本市場では既に約400社が顧客に名を連ねているという。
今後はカジュアルゲーム以外の非ゲームアプリも、広告配信先として積極的に開拓していく。ユーザーに認知度の高い非ゲームアプリにも広告を配信できるようにすることで、アプリ内広告をブランディングに活用したい広告主も取り込んでいきたいという。