動画広告配信会社のCMerTV(シーマーティービー、東京都千代田区)が、美容室のデジタルサイネージ向けに動画を配信するサービス「BEAUTINISTA TV」について、配信先の拡大に踏み切る。2018年1月末時点で300店舗ある配信先を、2018年3月末までに600店、同年9月末までに1000店に拡大する計画だ。

 「BEAUTINISTA TV」の仕組みはこんな具合だ。全国の有名美容室などと提携し、デジタルサイネージと位置付けるタブレット端末を1店当たり平均5~6台、原則無料で配置する。タブレット端末は来店客が髪をカットする際に視聴できる位置に設置され、そこへ動画コンテンツを配信する。ターゲットは「美意識の高い女性」(CMerTV事業本部アドプラットフォーム局RDNマネージャーの唐笠香織氏)だ。

複数台のデジタルサイネージが座席前に用意された美容室
複数台のデジタルサイネージが座席前に用意された美容室

 配信する動画は、「美容」「レシピ」など6つのチャンネル。順番にそれぞれ3分ずつ動画コンテンツを配信し、各チャンネルの間に2分まで活用できる動画広告を挟み込み、計30分で1ロールとする。この1ロールを4回繰り返して配信する「2時間」を1つの単位として、配信する内容を入れ替える。広告主からすると、30分の間に6枠ある広告枠の1つを確保すれば、2時間の間に計4回の動画広告をサイネージに配信できる。

 動画コンテンツの約7割は30ほどのコンテンツパートナーから調達した動画をCMerTVが加工して配信。残りの約3割は、CMerTV自身が自社で制作している。

商品サンプリングサービスも実施

 昨年6月のサービス開始以来、6枠ある広告枠はシャンプーなど美容系商品のメーカーを中心に完売が続く状況。今年の年始からは、飲料メーカーとして初めてアサヒ飲料が参入して乳酸菌飲料の広告を出稿するなど、女性向け情報を発信する場として、広告主の間で認知が広がっている。空き枠を待つ広告主も出てきたため、広告枠を増やし、女性向け商材を扱う広告主が活用しやすい環境を整えていく。

 広告効果はアンケート調査などを用いて測る。「自社商品を丁寧に説明できる2分の動画広告を、ターゲットとする女性を対象に配信できるのが大きな魅力のようだ」とCMerTV執行役員の廣田和也氏は語る。

 商品サンプリングサービスも広告主企業に提供している。サンプル品を美容室にあらかじめ配布し、動画広告を見て興味を示した来店客に美容室のスタッフが提供する。効果を認められてか、「動画広告の配信と商品サンプリングを併用する広告主が増えている」(廣田氏)という。

 美容室側にもメリットが大きい。動画をネタに美容師と来店客の間で会話が弾むことが多く、「来店客の満足度向上につながる」(唐笠氏)。また、商品サンプリングサービスに協力すれば、協力費収入も見込める。

 CMerTVは、広告主にも美容室にもメリットが大きいことを訴え、「BEAUTINISTA TV」の普及に今後も力を入れていく。