NTTコミュニケーションズは2017年12月、同社ラグビー部「NTTコミュニケーションズシャイニングアークス」の公式試合で、新しいタイプの紙製カードとスマートフォンを組み合わせて、シャイニングアークスの選手が映る動画を来場者が楽しめるファン向けマーケティング施策を実施した。NTTコミュニケーションズラグビー部の内山浩文GMは、「ファンのロイヤルティー向上に大きな手応えを得られた」と語る。

カード裏面のQRコードを読み込んで表示されたサイトにカード自体を近づけると、特設の動画再生ページに遷移する。写真のカードはラグビー部の金正奎主将をデザインしたプレミアム版
カード裏面のQRコードを読み込んで表示されたサイトにカード自体を近づけると、特設の動画再生ページに遷移する。写真のカードはラグビー部の金正奎主将をデザインしたプレミアム版

 具体的には、選手の顔写真をデザインし、試合日も記載した新しいタイプの紙製カード(通常版)を、試合会場に設置したシャイニングアークスのブースを訪れた来場者に、ラグビー部の控え選手などが手渡しで配布。来場者が自分のスマホでカード裏面に記載されたQRコードを読み取ると、専用サイトが表示され、その状態のスマホに指で持ったカードを近づけると、サイトの画面が特設の動画再生ページに遷移。5人の選手の動画をそれぞれ楽しめるという仕組みだ。

 またTwitterやLINEといった自身のソーシャルメディアに今回の施策について投稿し、その投稿画面をブースのスタッフに示した来場者には、通常版とはデザインの異なるプレミアム版のカードも、併せて配布した。

 通常版もプレミアム版も、紙製カードには目に見えない導電インクで電気の通り道が印刷済み。来場者がカードを持つと体内の静電気がカードに伝わり、4カ所に静電気が蓄積される。その状態でカードをスマホに近づけると、「指でスマホの画面4カ所にタッチした時に生じる静電認証と同じ効果が発生」(NTTPCコミュニケーションズ営業本部第三営業部営業担当の江本慎一朗氏)、特設動画再生ページに遷移する。

 特設動画再生ページのURLを別のデバイスに入力しても、「紙製カードがなければ再生ページには到達しない仕組み」(江本氏)。NTTPCコミュニケーションズの提携先であるTouchcard(東京都中央区)が開発し、国内特許を取得した技術「TOUCHCARD」を使っている。

 ユーザーは帰宅後も、期限が来るまでは何度でも動画を閲覧できる。今回は当初1月末までだった動画再生期限を3月末まで延長した。また、遷移先をサーバー側で簡単に変えられるので、今回は取り組んでいないが、「毎日異なる動画を配信したり、次の試合のチケットを販売するサイトへ誘導したりもできる」(江本氏)という。

ラグビーにエンタメ要素持ち込む

 NTTコミュニケーションズが今回の施策で狙ったのは、「エンターテインメントとして新しいラグビーの楽しみ方を来場者に示し、まずはラグビーにより強い興味を持ってもらうこと」(内山氏)だ。

 実際、今回の施策では、通常版カード2000枚とプレミアム版約1000枚を配布したところ、同日中の特設動画再生サイトへのアクセス数が約2800、平均滞在時間は約3分に達した。「カードを受け取った来場者の大半が動画を再生した」(江本氏)といい、カードがなければ見られない動画を、来場者に楽しんでもらうという狙いは当たった格好だ。

 来季以降のラグビー部の公式戦でも、今回同様の取り組みを重ねていく計画。今後は、来場記念という性格をより強く打ち出し、掲載する選手の数も増やして、この新しいタイプの紙製カードを、「ファンが収集したがる存在」に育てていく。そうしてシャイニングアークスのファン、ひいてはラグビーのファンの増加につなげていく考えだ。