歌詞に隠されたメッセージを四択から選ぶTwitterキャンペーンサイト
歌詞に隠されたメッセージを四択から選ぶTwitterキャンペーンサイト

 賃貸住宅検索サイト「いい部屋ネット」を運営する大東建託が、放映中のテレビCMにTwiiterとVR(仮想現実)を連動させて、同サイトの認知度向上に力を注いでいる。

 まず昨年12月26日から放映を始めたテレビCM「いい部屋ソング 冬」篇で、人気タレントの桜井日奈子さんに「オッテナエイヒイ、オッテナエイヒイ…」という理解不能の歌詞を歌わせ、話題を喚起。次いで今年1月23日から、Twitterを活用したWebキャンペーンと、テレビCMの撮影現場と桜井さんへのインタビューを収録したVR動画の配信を同時にスタートした。

 Webキャンペーンは、テレビCMとは異なる謎の歌詞を歌う桜井さんのネット動画を視聴し、歌詞に隠されたメッセージを四択から選んで「#いい部屋ソングの謎」付きでTwitterでツイートすると、桜井さんをモデルにした人形が抽選で2500人に当たるもの。2月28日まで展開する。

 VR動画は、CM撮影現場の中に自分がいるような体験ができるもので、「Gear VR」などのHMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)を装着して視聴する。360度VR動画の配信サービス「360Channel」を利用している。「10代から20代前半の若年層の多くが持つ遊び心と新しもの好きなところを刺激し、いい部屋ネットの認知度を一気に向上させる」(営業企画部次長の高橋由崇氏)のが狙いだ。

若年層の認知度不足が課題

 大東建託の主力事業は、地主に土地の有効活用策として賃貸住宅の経営を提案。地主に原則、賃料を保証しながら、建設の請負から入居者の募集、1棟に含まれる各戸ごとの物件管理までを一貫して手掛けるというもの。そのため、地主を新規開拓しながら、継続的に入居者を募って物件の空室率をゼロに近づけることが高収益につながる。

 大東建託の管理戸数は、この20年以上伸び続け、今年1月5日に100万戸の大台に到達。空室率も業界平均とされる18%を大きく下回る3%程度で推移するなど、好調が続く。しかし課題はある。「独自調査すると、いい部屋ネットの認知度は賃貸住宅検索サイトの中で1位ではない。特に、近い将来に賃貸住宅を利用する10代から20代前半の層の間で認知度が不足している」と高橋氏は話す。

 賃貸住宅の利用者は、引っ越しなどでニーズが生じると、すぐに検索して問い合わせる傾向が強い。つまり、「必要が生じたとき、最初に『いい部屋ネット』を思い浮かべてもらうことが重要」(高橋氏)。認知度の不足、とりわけ若年層からの認知で競合に後れを取ることは、将来の集客に大きな影響を及ぼしかねない。

 そこで一昨年夏から、桜井さんをいい部屋ネットのテレビCMに起用して若年層への浸透を図った。しかし「若干、向上したがまだ十分ではない」(高橋氏)。そこでテレビCMだけでなくデジタル施策も実施することにした。

 結果は期待を上回りそうだ。「キャンペーンが終わって、結果を精査した後でないと確定的なことは言えないが、スタート直後の反応を見る限り、大きな手応えはあった」と営業企画部広告宣伝課の矢端陽子氏は言う。同社がKPI(重要業績評価指標)に設定していた「いい部屋ネット特設サイト」へのアクセス数は、1月23日から数日間が、「昨年10~12月の平均アクセス数の約10倍、昨年8~9月の前回キャンペーン時の約5倍に達した」(高橋氏)という。同社の想定以上に若年層で情報が拡散し、特設サイトへの流入が増えていた。3月にはテレビCMを「いい部屋ソング 春」篇に切り替え、認知度向上につながる新たな施策の展開も検討していく。

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