メガネ量販店チェーン「Zoff」を展開するインターメスティック(東京都港区)がネット動画の活用を多様化させている。2015年12月12日から新たに取り組んだのが、ブランディングとEC(電子商取引)サイトへの誘導という販促の両面を狙った施策だ。動画上に表示される「詳細情報」ボタンを閲覧者がクリックすると、動画内に登場する商品の画像や商品名、価格といった情報を動画上で見られるようにして、そこから各商品の詳細ページに誘導した。
この動画施策はデータフィードを活用したもの。データフィードとは、企業が持つ商品名や価格といった商品データなどを、広告配信や外部メディアでの掲載に適した形に精製して、各プラットフォームに提供する仕組みだ。これまでは、主にリターゲティング広告上に商品の詳細情報を表示するため、使われることが多かった。しかし、昨年からデータフィードが活用できる幅が動画へと広がり始めている。
今回インターメスティックが活用したのが、昨年からグーグルがYouTubeで提供しているサービス「TrueView for shopping」だ。これは、YouTube上に掲載した動画に関連する商品情報を、動画上に表示できるもの。動画上に示したい商品写真や商品名、価格といった情報を、データフィードを介してYouTubeに受け渡すことで、表示が可能になる。
CPCは想定内も、CVRでは課題
インターメスティックは、ディズニーのキャラクターをモチーフとした商品群「Disney Collection created by Zoff」の新商品を2015年11月28日に発売するのに合わせたプロモーションで、モデルの水原希子さんを起用したテレビCMを展開。併せてネット動画を制作して、YouTube上に配信した。この動画を広告として配信する際に、手法の1つとして、デジタルマーケティング支援のフィードフォース(東京都文京区)が提供するデータフィード最適化サービス「DF PLUS」を通じて、動画広告に商品の詳細情報を表示した。

具体的には、動画広告の右側に表示されるボタンをクリックすると、動画の中で水原さんやほかの出演者がかけている商品の一覧が表示されて、商品名や価格といった詳細な情報を閲覧することができた。各商品情報からは、その商品の詳細ページに誘導した。
実験的な取り組みではあったが、「CPC(クリック単価)は想定よりも抑えられた上、購入にもつながった。ブランディングと購入の両立を目指せる施策として、期待は高い」とインターメスティックマーケティング本部マーケティング部デジタルマーケティンググループの斑目拓也氏は評価する。
とはいえ、現時点でCVR(成約率)だけで比較すると、その他の広告施策には劣る面もある。そこで今後、「テストという意味合いではなく、TrueView for shopping向けにきちんと予算を組み、誘導効果や購入といった指標でしっかりと効果測定していく」(斑目氏)ことで、その可能性を探る方針だ。