旅行ガイドブックや地図を主力とする出版大手の昭文社は2月から、同社の訪日外国人向け情報メディア「DiGJAPAN」で、年齢・性別などの属性によってターゲティングした広告出稿やプロモーションを強化する。さらに、韓国人向けには「NAVER」、米国人向けには「Instagram」と新たにソーシャルメディアをオープン。日本の観光地の情報を中心とするFacebookとは異なり、日本の日常や、注目すべき人の情報にフォーカスして、Webサイトへの流入やアプリのダウンロード数の増加につなげる考えだ。

スマートフォンで見たDiGJAPANのWebサイト(英語版)。よく読まれた「大阪定番スポットを巡るモデルプラン」という記事で、移動手段や所要時間が細かく記されている
スマートフォンで見たDiGJAPANのWebサイト(英語版)。よく読まれた「大阪定番スポットを巡るモデルプラン」という記事で、移動手段や所要時間が細かく記されている

 同社は本誌既報の通り、「DiGJAPAN」ブランドでインバウンド向けメディア事業を強化している。2014年に繁体字(台湾)、タイ語、英語、簡体字(中国)、韓国語という5つの言語に対応したスマートフォン向けインバウンド情報アプリをリリースしていた。さらに昨年12月21日には日本語を含む6言語に対応した情報サイトをオープン。Facebookページも5言語に対応していたが、昨年11月17日に日本語版を追加した。一連の施策により、DiGJAPANのサイトのPVを上積みするなどして、インバウンド向けメディアとしての価値を高めていく考えだ。

 現在、インバウンド向け情報サイトのPV(ページビュー)は、6言語全体で約10万PV。「Facebookやアプリを使っての告知くらいしかしなかった割には上出来の数字だ」と、グローバル事業本部グローバル事業統括部マーケティング推進課課長の鶴岡優子氏は語る。

 情報サイトの開設でDiGJAPANのユーザー層が広がっているようだ。Facebookページとアプリのユーザーはほとんどがアジア圏で、しかも女性が多かった。例えば台湾向けFacebookは約95%が女性だった。これに対し情報Webサイトのユーザーは、16%がドイツやフランス、オーストラリアなど、これまでDiGJAPANの利用がなかった国の人たちで全体の32%は男性だという。またパソコンからの利用が24%と多いのが特徴だ。「今後は、Webサイトを利用するユーザーの特性を分析し、さらなるアクセス増につなげていきたい」と鶴岡氏は語る。

どんな記事が誰に読まれるのかが見えやすく

 WebサイトはFacebookやアプリよりも多彩な情報を掲載しているため、「どんなコンテンツがどんなユーザーに好まれるのかが見えやすい」(鶴岡氏)という。例えば、旅程を進めるうえで必要な所要時間や金額などを詳しく解説した「大阪定番スポットを巡るモデルプラン」という記事は、PVでトップ10に入るほどよく読まれている。またJR四国が運行している「アンパンマン列車」に関する記事は35~44歳の母親層などに人気で、また、いかに安く東京を回るかというハウツー記事は18~24歳の若者が中心。そして金沢の観光スポット解説記事は45歳以上の人々によく読まれたという。

 アプリのダウンロード数は現在、60万。これを早期に100万ダウンロードまで増やし、併せてWebサイトも月間100万PVの達成を目指していく。

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