ローソンが、オープンデータを活用したネット広告の配信に取り組み始めた。2015年11月10~16日の1週間、店頭で売るおでんのセールを告知するネット広告を、東京都のスマートフォンユーザーに、それもランチタイム(11~14時)とディナータイム(18~21時)に限定して配信した。
その際、気象サービス会社などから入手した体感温度のデータを組み合わせて、体感温度とネット広告のCTR(クリック率)の関連を調べた。
その結果、ランチタイムでもディナータイムでも、「体感温度が4~8度の時にCTRが高くなり」(デジタルプラットフォーム部/広告販促部の白井明子マネジャー)、また気温より体感温度の変化が、CTRに与える影響が大きいと分かった。
ローソンでは今後、おでんはもちろん、体感温度によって売れ行きが変わることが予想できる冷やし麺やアイスクリームなどを売る際、同様の取り組みを実施してデータを集め、「体感温度によってネット広告を出し分ける考え」(白井氏)だ。

また今回ローソンは、おでんのセールを告知するバナー広告と、おでんの金額をスクラッチで覆い、消費者がスマホ上でスクラッチをこすると金額が表示されるバナーとを配信するA/Bテストも実施している。その結果、スクラッチ付きバナー広告のCTRは、スクラッチのないバナー広告の8.6倍にもなったという。
博報堂などのFIT ADを活用
ローソンがこれらの広告配信に利用したのは、博報堂の子会社で動画広告が得意なスティーブンスティーブン(東京都港区)と、広告サービスを主に手掛ける技術ベンチャーのヒトクセ(東京都港区)、博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂の4社が提供するデジタルアドサービス「FIT AD(フィットアド)」だ。
FIT ADは、気象データや株価データ、CM情報、検索上位のキーワードといった、有料または無料で一般公開されているオープンデータをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で取り込む。そのうえで、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)から広告配信する際に、事前に決めたルールに基づき、オープンデータを勘案して、動画広告やバナー広告を出し分けることができる。
ローソンは今後も同サービスを活用して、「体感温度はもちろん、それ以外のオープンデータに基づく広告配信も視野に入れていく」(白井氏)考えだ。
例えば、体感温度が一定の数値を超えた地域から冷やし麺を販売したり、設定したキーワードを含むツイートが一定数以上になったら動画広告を配信したり、ライバル企業がある商品のテレビCMを展開し始めたら、競合する商品の動画広告を配信したりする使い方をイメージしている。さまざまなオープンデータを広告配信に活用し、広告効果をさらに高めていく方針だ。