ジーユー(GU、東京都港区)が、累計ダウンロード数600万を突破した公式アプリ上で、「onomato mix(オノマトミックス)by GU」と名付けた新しいインタラクティブ動画を、昨年12月14日から今年1月5日まで、期間限定で公開した。
onomato mix by GUの仕組みはこんな具合だ。ユーザーはアプリの中で3人のモデルから1人を選ぶ。すると動画が再生され、一定の秒数後に、「ルンルン」「わくわく」など気分を表すオノマトペ(擬態語)が2つ、示される。その日の気分に合ったオノマトペを選ぶと、動画内のモデルが着こなしを変え、流れている音楽も変化する。


1人のモデルにつき、オノマトペを選択する機会は2回あり、最終的にユーザーのその日の気分に合ったトータルコーディネートを、モデルが着こなす形で提案する。企業のO2O(オンラインtoオフライン)支援を手がけるアイリッジ(東京都港区)とアプリ制作のパレク・トリカル(東京都目黒区)が開発した。ユーザーは、モデルが着用する商品名や価格をアプリ内で確認し、GUのEC(電子商取引)ストアでこれらを購入することもできる。
アプリ新規ダウンロード数が7万
GUがこの新しい動画を公式アプリで公開した1番の狙いは、潜在的な顧客層へリーチするためだ。これまで同社は、LINE公式アカウントやメールマガジンなどで、GUで頻繁に商品を買う“コアファン”をがっちりつかむ一方、GUになじみのない客層にはテレビCMで幅広く訴求を図ってきた。しかし、「なじみのない客層のうち、テレビを見ない層にはメッセージが届いていない」(GUマーケティング部マーケティングチームの萩原将人リーダー)。
そこでテレビを見ない層の多くが“見る”スマートフォンを対象に、「見ていて楽しく、『ファッションをもっと自由に』というGUのコンセプトも伝わるコンテンツを提供したい」(萩原氏)と考えた。その際、GUにあまりなじみのない消費者にも受け入れられるように、「直感的に楽しんでもらうことを重視した」(萩原氏)。 その結果が、オノマトペを活用したインタラクティブな動画を制作し、公式アプリ内で公開することだったのだ。
今回の取り組みのKPI(重要業績評価指標)は、「onomato mix by GUの再生回数と、公式アプリのダウンロード数の増加」(萩原氏)。実際には、12月14日から1月5日までの23日間で、動画の再生回数は約20万回に達し、公式アプリの新規ダウンロード数も7万を超えた。「テレビCMをそのままYouTubeに置いた時の平均的な再生回数5万~10万を上回る」(萩原氏)という目標はクリアし、新規ダウンロード数でも、2015年春の施策で増えた3万を大幅に超えた。予想を上回る成果だ。
「今回の取り組みで、潜在的な顧客に受け入れられるエッセンスを発見できれば、見せ方を全く新しいものに変えながら、そのエッセンスを核に第2弾、第3弾の取り組みも検討している」と萩原氏は今後の見通しを語る。