2017年の輸入車販売台数は1997年以来、20年ぶりに年間30万台の大台を突破した模様だ。メルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲン(VW)などドイツ勢を中心に新車販売が好調だった。

 実は国内メーカーも奮闘しており、2017年の新車販売台数は前年比5.3%増の523万台となった。500万台超えは2年ぶりのことだ。

 そうした中、メルセデス・ベンツなどがこの先を見据えて、国内メーカーに先駆けて取り組む分野がある。自動車のネット販売だ。

メルセデス・ベンツ日本が開設したECサイト
メルセデス・ベンツ日本が開設したECサイト

 メルセデス・ベンツ日本(MBJ)は昨年10月25日、EC(電子商取引)サイト「メルセデス・ベンツオンラインストア」をオープン。「SLC200 マニュアルトランスミッションモデル」など、3車種のネット販売を始めている。

 まだ実験的な施策だが、それでもローン審査や申込金の決済、そして契約締結までがスマートフォンやパソコンから実施できる。欧米には存在しない、さまざまな法規制や煩雑な手続きが多い日本でも、クルマの販売プロセスを、可能な限りネット化していこうという意欲が感じられる。同社の上野金太郎代表取締役社長兼CEOも、「現状に甘んじることなく、メルセデスをお客様に身近に感じてもらう」と、クルマのネット販売にかける意気込みを語る。

 実際、このECサイトをオープンしてから2週間ほどの時点でも「既に数台が成約した」(MBJ広報)という。

日産やBMWも過去に挑戦

 これまでもクルマ、それも新車をネットで販売する試みはあった。2014年には日産自動車がAmazonの商品販売ページに見える軽自動車「デイズ ルークス」のキャンペーンページを作成し話題を呼んだ。

 2015年にBMWも電気自動車(EV)「i3」を、3カ月の期間限定ながら、Amazon.co.jpから実際に購入できるようにした。

 「キャンペーン期間中は通常月に比べて、ウェブ訪問者数が10倍になり、5台のi3を販売することに成功した」(BMWジャパン)。同社はその知見を生かして2017年7月には、自社ECサイト「BMW iオンライン・ストア」を開設。期間限定ではなく、恒常的にクルマをネットで購入できるようにした。

 目を海外に転じると、クルマのネット販売は日本よりも大きく進展している。メルセデス・ベンツは本国ドイツでは、ほぼすべてのモデルをネットで購入できる。英国や南アフリカでも同様のネット販売を展開している。BMWも欧州では既に3カ国で「i3」のネット販売を実施中。さらに欧州の2市場でネット販売を開始する計画だ。

 そうした状況で始まったMBJによるクルマのネット販売。車庫証明の取得や税金の支払いなど、“障害”はまだ残るが、小さくない一歩を記したのは確かだ。2018年、両社に続く国内メーカーは現れるのだろうか。