マニュライフ生命保険が2016年秋から展開しているブランディングキャンペーンが好調だ。2015年に続いてアニメ「マジンガーZ」を、そば屋開業という夢の実現のために早期退職した「マジンガー課長」というキャラクターで起用している。2016年9月からテレビCMの放映を始め、11月からは特設サイトでネット動画の公開とソーシャルメディアを使った投稿キャンペーンを展開した。

Twitterハッシュタグキャンペーン「#マジンガー課長やめて何する」でアイデアを一般から募り、採用されたエビ釣りの案。ネット動画「マジンガー課長の修業日記 その10」として2016年12月26日に公開された  ⒸGO NAGAI / DYNAMIC PLANNING
Twitterハッシュタグキャンペーン「#マジンガー課長やめて何する」でアイデアを一般から募り、採用されたエビ釣りの案。ネット動画「マジンガー課長の修業日記 その10」として2016年12月26日に公開された  ⒸGO NAGAI / DYNAMIC PLANNING

 手応えは上々だ。特設サイトのネット動画「マジンガー課長の修業日記」(全11話)は1月10日時点での再生回数合計が2万回を超えた。「テレビCMをそのままネット上に流した動画の再生回数も、約80万回に達した」(マニュライフ生命保険 ブランディング・マーケティング&コミュニケーションズ シニアマネージャーの岡本英己氏)。

 また、退職したマジンガー課長に対して「本当はこんな仕事が合うかも?」「今後のために、こんな体験してみたら」というアイデアを「#マジンガー課長やめて何する」というハッシュタグ付きでTwitterに投稿してもらうキャンペーンを11月14~21日に実施。街中に出没するマジンガー課長の写真を撮影し、Twitter や Instagram に「#マジンガー課長修業中」のハッシュタグとともに写真を投稿してもらうキャンペーンも、11月7日から1月4日まで展開した。両キャンペーンを合わせて、想定の約5倍の投稿が集まったという。「最終的な判断はキャンペーン後の調査を踏まえてするが、期間中の手応えから、ターゲット層を中心としたマニュライフ生命保険の認知度向上という狙いは達成された」と岡本氏は語る。

認知度が競合他社に劣っていた

 マニュライフ生命保険が今回のキャンペーンを実施した背景には、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)、メットライフ生命保険、アクサ生命保険という3大外資系生命保険に比べ、マニュライフ生命保険が認知度でかなり劣り、ブランドの確立が求められているという2014年の独自調査の結果があった。だが、幅広い顧客層を対象に一気に認知度を引き上げ、ブランドを構築するのは容易ではない。そこで2015年、退職を直前に控え、早期退職や新たな趣味などさまざまな可能性を探っているプレリタイアメント層、つまり40代後半から50代前半にターゲットを絞り、「この層の人々を応援するマニュライフ生命保険という形で認知度を向上させようと考えた」(岡本氏)のだ。

 こうしたアラフィフ層に刺さるキャラクターとして白羽の矢を立てたのが、マジンガーZである。保険業界ではもちろん、他業界でもキャラクターにあまり起用されていないのが採用の決め手となり、早期退職して次のステージへ向かおうとするマジンガー課長という設定で登場するネット動画を2015年7月に公開し、大きな反響を得た。

 公開後の調査で、ターゲット層であるアラフィフ層にはマジンガーZの好感度が高いこと、反響が大きかった割にネット動画の存在に気づかなかった人が予想よりも多かったことなどが判明した。この結果を受け、2016年もマジンガーZを起用し、ネット動画だけでなく、テレビCMやソーシャルメディアなども活用した複合的なキャンペーンを展開した。

 今後はマジンガー課長の将来を描くテレビCMやネット動画を提供する可能性を検討しながら、ターゲットに据えたアラフィフ層に対し、さらなる認知度アップを進めていく考えだ。