2017年10月、「江之浦測候所」が神奈川県の小田原市にオープンした。現代美術作家の杉本博司氏の構想から10年以上の歳月をかけて建設された、これまでに類を見ない施設である。かつて柑橘山だった約3.8haの広大な敷地の一部を開発し、ギャラリー棟、能舞台、茶室などを設えた。同時に入場できる人数は限られており、敷地内を歩いていても、自分以外の観覧者がほとんど気にならないように入場者数を抑えている。入場料は1人3000円。ほかの美術館などと比較すると決して安くはないが、来場者から価格への不満が出たことはないという。安全面への配慮から入場は中学生以上に限定しているものの、家族連れから地元住民、1人で訪れるアートファンなど客層は多様だ。オープン直後から外国人観光客の割合も高い。完全予約制で、2時間の入れ替え制が取られており、申し込みを開始した直後に、年内の週末はほぼ満員となってしまうほどの人気ぶりだった。