首都圏で時間貸しの駐輪場110施設、駐車場130施設を管理運営する芝園開発(東京都足立区)はデータを活用して、赤字だった施設を黒字化した。収益を改善する決め手はデータに基づいた戦略的な料金設定だ。

 芝園開発は無人の時間貸し駐輪場システムを他社に先駆けて開発した会社である。精算機や監視カメラをインターネットにつなぎ、施設の1日の売り上げや1台1台の利用時間などをネットワーク経由で管理する駐輪場・駐車場管理統合システムの「SHIP」を2013年に稼動させた。

 SHIPで蓄積したデータを現場が思い通りに活用する目的で、昨年6月に導入したのがウィングアーク1st(東京都渋谷区)のBIツール「MotionBoard」。芝園開発の財務経理責任者の市川桐多管理部長は「施設の数字をいろいろな切り口ですぐに確認できるので、料金の見直しがすばやくできるようになった」と言う。

 例えば昨年末、同社が東京都足立区で運営している100台規模の時間貸し駐輪場の収益が悪化した。他社の駐輪場が近くにできたためだ。昨年1月に27%だったこの駐輪場の月間利益率が、今年2月にはマイナス26%まで落ち込んでしまった。

 今年3月の収支を検証するミーティングでこの問題が取り上げられ、対策として直ちに3月26日に料金を変更した。10時間当たり110円だった料金を最初の10時間は100円とし、その後は課金の単位を変えて5時間当たり50円としたのだ。

料金政策の変更で売り上げ6割増、黒字に転換

 たった10円、単純な課金単位の変更だと思うかもしれないが、見直しは見事に成功した。新料金の導入後の1カ月間の利用台数が変更前と比べて88%も増加、売り上げは変更前と比べて62%も増加したのだ。そして利益率は22%へとプラスに転じた。

駐輪場の入出庫件数のヒートマップ。時間帯別に利用時間(単位は分)の分布をみている。赤は件数が多いことを表し、青は少ない
駐輪場の入出庫件数のヒートマップ。時間帯別に利用時間(単位は分)の分布をみている。赤は件数が多いことを表し、青は少ない

 料金変更の目的は、他社の駐輪場に奪われた顧客を取り返すことだった。BIツールで駐輪場の利用時間の分布などをつぶさに調べた結果、利用時間が10時間以上15時間以内の利用者が多いことが数字で確認できた。画面は利用時間帯別にみた利用時間(分単位)の分布である。駐輪場の利用を開始してから12時間後に精算する利用者が最も多く、この層を一気に取り込む作戦を立てた。

 料金の見直しで利用者が増えなければ、ただの減収に終わる。駐輪場が赤字を脱却するには「10時間以上15時間以内」の利用者を1日あたり16人増やすことが必須。近隣の競合他社は10時間当たり100円の料金を設定しており、平日で1日あたり50人ほど他社に顧客を取られてしまっているとデータから推測した。

 そこで、10時間までの料金をあわせたうえで、さらに15時間までの利用者に割安感を感じてもらえるように、10時間以降は5時間単位での課金とした。結果として、顧客を取り戻し、収益の改善を果たした。

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