2015年4月21~22日の二日間、東京・六本木の東京ミッドタウンホールで開催された「BigData Conference 2015 Spring」において、「データ素材の開発なくして情報活用なし、データドリブンな組織への転換」と題してリクルートライフスタイルの東誠 執行役員ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニットユニット長と、前田周輝ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニット リーンアナリティクスグループアナリティクスチームリーダーが講演した。

リクルートライフスタイルの東誠 執行役員ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニットユニット長
リクルートライフスタイルの東誠 執行役員ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニットユニット長

 まず東氏は「データは資産と考えている。資産なので、どう貯めるかだけでなく、どう運用するかが重要になる。データを取る、磨く、使う、価値を見出す、といったサイクルを順次回していくことが理想だ」と切り出した。

 データを利用するうえでは、費用対効果が捉えにくいことが大きな課題という。「データが増える中、データ基盤にどれくらい投資すればいいのかの判断は難しい。データ活用をどこから始めるべきかも悩みどころだ」(東氏)。

 リクルートではデータ活用について「今取り組んでいることを軌道修正しながら進めていく、『リーン アプローチ』を採っている」(東氏)。開始当初は「既にあるデータを使い、短いサイクルで成否を評価できる案件に取り組む。その中で、最初のテーマを意思決定のスピードアップに置いた。マンスリーで判断していたものをウィークリーにしたり、いろいろな部門で判断に時間が掛かっていたものを、ツールを使ってすぐに判断できるようにする」(同)。

 組織の変更も進めている。「以前は専門性の高い人をそれぞれにまとめる水平組織だった。切磋琢磨しやすいが、専門性が強くなり過ぎて現場とのかい離が出てきた。現場のビジネス投資と判断が合わないこともあった」(東氏)という。

 そこで「水平と垂直を意識して編み込み型の組織を作った。納期があるようなものはバーチャルなプロジェクトチーム、日常的なものは『クロスファンクショナルチーム』と呼ぶ組織で取り組んだ」(同)。

 クロスファンクショナルチームとは、施策を実行する部隊と、データ分析のチームを1つにまとめた組織である。これにより「サービスのリリースまでのサイクルが短くなり、本数が劇的に増えた」(東氏)という。

分析は汎用化し過ぎないことが重要

リクルートライフスタイルの前田周輝ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニット リーンアナリティクスグループアナリティクスチームリーダー
リクルートライフスタイルの前田周輝ネットビジネス本部ディベロップメントデザインユニット リーンアナリティクスグループアナリティクスチームリーダー

 続いて前田氏が登壇し、システム的な部分での取り組みを紹介した。前田氏はデータの保存場所について「ER図を基にデータをきれいに分けていくと、目的別にデータマートを作ることになり、データマートが乱立してしまう。ワンソース・マルチユースを目指すようにしている」と説明した。

 データモデルについては、「つい複雑な『超大作』を作ってしまいがちだ。大作になりそうな場合は、ステップバイステップで、一歩ずつ作っていくことが大切だ」(前田氏)とした。

 分析ロジックは「汎用設計を目指すべきだが、適度なところに留めておくべきだ」(前田氏)と指摘する。例えば、リクルートのサービスでは『じゃらん』と『ホットペッパー』はかなり似たデータモデルを持っているが「同じロジックで分析すると失敗することが多い。勇気を持って個別の設計にすべきものもある」(同)。

 現場でのデータ活用について前田氏は「現場の人の当事者意識を上げることが重要。分析者の側から理想をどんどん発信して現場の人に共有してもらい、理想と現実のギャップを埋め、現場に変化を実感してもらう必要がある」と説明した。

 そのための取り組みの1つとして、新サービスを導入した際のアカウントの管理について語った。サービスのアカウントは希望する社員全員に発行するが、ログを見てあまり利用していなければ他の希望者にアカウントを渡す。こうすることで「サービスをうまく活用できる人にアカウントが行き渡る」(前田氏)ようになったという。

この記事をいいね!する