エイベックス通信放送(東京都港区)は、定額制動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」を4月22日にリブランドし、「dTV」に衣替えした。最大の強みであるデータ分析を強化して、お薦め動画の視聴を強く押すことで、利用を促進する。

 dTVのチャンネル編成はデータ分析に基づいている。エイベックス通信放送はエイベックス・デジタルとNTTドコモが共同出資する会社。同社がNTTドコモの携帯電話向け動画配信サービス「BeeTV」を開始した2009年5月から、「継続して視聴者データなどを分析し、チャンネル編成に生かしてきた」(エイベックス・デジタルの村本理恵子常務)。

 まず、全作品について約1000種の中からその作品に該当するタグを指定した。タグの種類は「コメディ」「ホラー」といったジャンル名、俳優名などのほか、「すっきりする」といった気分・感情を示す言葉、「悪者をやっつける」「恋に悩む」などシチュエーションを示す言葉などからなる。
 そして、蓄積してきた視聴者ごとの視聴履歴や視聴時間、性別、年代などのデータを組み合わせ、どんな視聴者がどんな作品を好むかを分析し、編成に反映していたのだ。

すてきな恋愛願望に応えるドラマ

 例えばオリジナルドラマ「キス×kiss×キス」シリーズは、就寝前に“すてきな恋愛”という妄想に浸りたい女性が多いと視聴傾向のデータから分かって企画したドラマ。細かいストーリーは度外視して、幸せなキスシーンに至るまでおよそ10分。この作り方で、「放送を始めた5年前から今日まで、高い人気を誇っている」(村本氏)。

 dTVは今回、リブランドに伴いレコメンド機能を強化した。個々の視聴者に合ったコンテンツを自動的にアプリ画面に示す機能を加えたのだ。トップ画面上部のチャンネルバーに「あなたにオススメ」が現れ、当該視聴者に適したレコメンド動画が次々に再生されるようにした。

 こうしたレコメンドの強化だけでなく、コンテンツの強化、ユーザーインターフェースの刷新、スマートフォンに加えてテレビでも楽しめるマルチ端末化の推進などで、今年3月末で約460万人だった有料会員数を「1000万人まで増やし、定額制動画配信プラットフォーム首位の座を盤石にする」(村本氏)考え。

 dTVは海外ドラマやアニメなど動画約12万作品を、月額540円で、アプリを介してスマホなどで見放題になるサービス。今年3月末で、「会員数は前年同期比6~7%伸びている」(村本氏)と好調が続く。それでもリブランドに踏み切ったのは、「スマートフォンの普及で動画配信サービスを楽しむ人が増えてきた今、強みを生かして一気に飛躍する」(村本氏)ためだ。

 動画配信サービス市場で一気に普及を図るdTV。データ分析に基づくレコメンドが継続利用を促進し、会員増加に貢献できるだろうか。しばらくは目が離せない。