三菱UFJ信託銀行が開発中の「ビッグデータ活用型」ファンドの第一弾の概要が明らかになった。資産運用のプロ向けに配信されているニュースをコンピュータで即座に分析し、株式市場の中から割安と考えられる銘柄やその逆の銘柄を自動的に選び出すというもの。この結果をもとにファンドマネージャーが株式を売買する。

顧客から受託した資産を株式などで運用するディーリングルーム
顧客から受託した資産を株式などで運用するディーリングルーム

 2015年2月から、約10億円の自己資金でこのパイロットファンドのテスト運用を始めている。発売時期は未定だが、パイロットファンドの運用結果と顧客のニーズを踏まえてなるべく早く商品化したい意向だ。

 関西学院大学大学院経営戦略研究科の岡田克彦教授のチームと、三菱UFJ信託銀行グループのシンクタンクである三菱UFJトラスト投資工学研究所(MTEC)が共同開発したモデルを使用している。岡田教授とMTECは今回試験運用を始めたモデル以外にも、インターネット上のブログや検索語の情報を活用したものなど様々な種類のビッグデータを活用した資産運用方法を研究しており、今回はその第一弾という位置づけだ。

人間には見落としがある

 今回のファンドの基本的なアイデアは、大量のニュースの中に埋もれて見過ごされた情報をコンピュータで見つけ出すというもの。資産運用担当者の情報端末には1日に数千本の金融・経済関連などのテキストニュースが配信されるが、全てのニュースを同じように注意して見ているわけではない。「最初のニュースは全て見ていても、その続報を1カ月間全て追い続けることは人間にはできない。見落としている情報もある。特にニュースが多い時期には情報が見落とされる可能性も高くなる」(資産運用部の三橋和之チーフファンドマネージャー)。

 今回のパイロットファンドでは約800銘柄の株式を対象とし、ニュースが投資家の心理にポジティブなものかネガティブなものかを自動で判定。さらに、ニュースの量の増減の具合や株価の動き方などから、割安と考えられる銘柄やその逆の銘柄を選び出す。2015年2月以前のニュースもシステムに取り込んでいる。

割安株をいかに見つけるか

 例えば、ポジティブなニュースが出ても株価がほとんど動いていない銘柄があれば、情報が市場に十分に織り込まれておらず割安の可能性があると考えるわけだ。損切りなどのルールもシステムに組み込んである。

 三菱UFJ信託銀行が他の大手金融機関に先駆けてビッグデータ活用型の新しいファンドの開発に取り組むのは、「世の中にまだない、新鮮味のあるファンドを作りたい」(三橋氏)という強い意欲があるからだ。「これまでにないスピード感で(ファンド開発を)進めている」(同氏)と言う。

 試験運用開始から2カ月がたち、大量のニュースをコンピュータで活用することの効果を調べている。現在の運用成績がコンピュータによるニュース分析が奏功したためなのか、それ以外の相場動向などの要因によるものなのかを判定するには、運用成績のデータをもっと蓄積する必要があるようだ。

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